アロエは「医者いらず」な身近な万能植物ってほんと?
「アロエヨーグルト」やアロエエキス配合のシャンプーやコスメなど、アロエを使ったものは身近にたくさんありますね。「自宅に鉢植えがあった」という人も多いのではないでしょうか。
このアロエ、「医者いらず」と言われるほど万能な植物で、古くから様々に人々の生活に役立てられてきました。最も古い記述によると紀元前1500年ごろ、生薬として使われていたことがエジプトに記録が残っています。そしてクレオパトラが美貌維持のため化粧水として用いたことは有名。
また中国では蘆薈(ロエ)と言われ、漢方医学の父と言われる李時珍(りじちん)の薬学書「本草網目(ほんぞうこうもく)」にも登場しています。
美肌や健康に役立つアロエの種類や成分、使い方などを詳しく見ていきましょう。
日本のアロエは4つの種類がある
アロエベラ
アフリカや地中海地方など温暖な地域が原産で、葉が大きく分厚いのが特徴です。寒い日本ではあまり育ちませんが、欧州で一般的にアロエというとこのアロエベラを指します。
大きな葉には多くの水分を含む「多糖体ジェル」が豊富に含まれていて、アロエヨーグトに用いられています。ジェル状の部分のみを切り離すことが簡単にできます。
キダチアロエ
その他2つのアロエ
代表的なアロエベラとキダチアロエの他にも、南アフリカケープ地方で栽培されていて日本で医薬品原料として使用されるケープアロエ。
同じく医薬品や化粧品に使われるソマリア沖ソラトコ島産のソコトラアロエがあります。
アロエの成分と効果効能とは?
アロエの成分と効果効能について見ていきましょう。幼い頃おばあちゃんが軽い火傷にアロエを塗ってくれましたが、どの成分が作用していたのでしょうか?
ちなみに「効果」と「効能」は混同されやすいのですが、効果とはもたらされる結果を、効能とはその影響によって期待できる働きを指します。
アロインなど植物フェノール系成分
アロエの苦み成分がこのアロイン。外皮に多く含まれ、胃腸の働きを活発にする効果があり便秘改善や下剤としても用いられます。
植物フェノール系成分には他にアロエエモジン、アロエチン、アロエニン、アロエシンなどがあり、鎮痛作用や殺菌抗菌作用が確認されています。
アロエマンナン・グルコン酸などムコ多糖類系成分
サポニンは基本的にアロエベラのみ
美肌にうれしいアロエの効果効能と使い方
1、日焼けケア
日焼けした後の肌は軽い火傷と同じ状態で、炎症を起こしています。アロエの成分であるアロエシン・アロイン・アロエエモジンなどには抗炎症作用があり、炎症を鎮めるのに役立ちます。
それだけではなく、ムコ多糖類の保湿効果やターンオーバーを促す効能などの複合作用によって、日焼けした肌のケアに効果的なのです。
市販のアロエジェルや化粧水もありますが、生の葉を使うこともできます。その際は葉の雑菌による感染症を防ぐため、中のゼリー部分に熱湯をかけて消毒してから、日焼けした肌に塗りましょう。
2、シミそばかす
シミやそばかすの元であるメラニン。アロエジンにはメラニンの生成を少なくする働きがあり、アロエシンはメラニン色素の沈着を予防する効果があります。
ゼリー部分を直接シミソバカスの気になる部分に塗りこむか、ミキサーにかけた後肌にのせてもいいでしょう。根元の黄色い液体に触れるとかゆみが出ることもあるので気をつけて。
3、美白
アロエのメラニンへの作用は前述の通りですが、その他メラニンを作るよう命令を出す「角化細胞」に影響を与えることで、日焼けを防ぐメカニズムも解明されています。
またアロイン血液循環促進作用から、血行不良によるクマや顔色の悪さの改善にも役立ちます。
4、ニキビ
アロエは、ニキビ治癒に必要な殺菌・抗炎症作用を持っているため、赤ニキビを鎮め、ニキビ跡を目立たなくするにも役立ちます。また殺菌作用を利用して、ニキビのできにくい肌にしていくこともできるでしょう。
ニキビ対策としてのアロエの使い方は、3つ。
①エキスを塗布
カットしたアロエを絞り、エキスを気になる部分にそっと塗ります。
②アロエパック
輪切りにしたアロエを5分ほどのせてパックします。
③入浴剤として
刻むかスライスしたアロエを洗濯ネットなどの袋に入れてから湯に入れましょう。その他、ミキサーにかけた後アクを取りながら沸騰させ、100ccほどを注ぐ方法もあります。
5、アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎には保湿ケアが不可欠。
アロエに含まれるムコ多糖類は保湿剤としての効果が高いので、かゆみや炎症を抑えてくれるでしょう。その他殺菌抗菌作用は、皮膚炎を悪化させる原因と言われる黄色ブドウ球菌に対しても効果的です。
アトピー性皮膚炎にアロエを使用するのであれば、必ず主治医に相談してからにしましょう。
また生葉を使うのは雑菌などによって症状が悪化する可能性もありますから、アロエエキス配合の保湿剤などを使うのがオススメです。
6、乾燥肌
ムコ多糖類の持つ優れた保湿力。さらにコラーゲンを活性化させて増やす効果があると言われています。その他ビタミンやミネラルなどを豊富に含むアロエで潤いに満ちた健康な肌に導くことができます。
効果的な使い方としては、先述の入浴剤として使う方法のほか、アロエのゼリー部分をガーゼに包んで絞り精製水で薄めたアロエ化粧水として使う方法があります。
体質などによって合わない場合もありますから、肌の状態を見ながら使うようにしましょう。
健康に役立つアロエの効果効能と使い方
7、便秘など整腸作用
アロインやアロエエモジンには大腸を刺激する作用があるため、便秘解消や整腸に効果的です。
最も便秘解消効果が高いのは、生の葉肉を食べたりアロエ粉末やサプリメントで経口摂取する方法。ですが一度に大量摂取すると下剤のように強い効果が現れることが多いので少しずつ摂取していきましょう。
8、やけど
日焼けケアに有効なように、やけどで炎症が起きたり傷ついた肌の回復にアロエは役立ちます。軽度の火傷であればひりつきを抑えてくれアロエだけで十分な場合もありますが、皮膚が破れているようなら要注意。
傷口から生のアロエに付着した雑菌が侵入し、感染症を引き起こしてしまうこともあります。必ず熱湯消毒もしくは煮沸消毒してから、冷ましたものを患部に塗るようにしましょう。
9、ダイエット
アロエが直接ダイエットに効果があるというよりも、アロインの力で便秘を解消し老廃物の排出を促すことで結果的にダイエットにつながると言えるでしょう。またアロエマンナンやサポニンは中性脂肪を減らすのに効果的と考えられています。
ゼリー状の葉肉を食べることでこういった効果が期待できますが、食べ過ぎは下痢を引き起こしますので少しずつ取り入れて見てください。
10、二日酔い
アロエチンという成分は、解毒作用があり肝臓の機能を助けるので、二日酔いの症状緩和に役立ちます。その他ビタミン・ミネラル・アミノ酸という栄養分は肝臓を助けて代謝を回復させてくれるでしょう。
すりおろしたアロエを薄めて飲んだり、生のまま食べたり、大根おろしと混ぜて食べるのがオススメです。
11、胃潰瘍や十二指腸潰瘍
胃や十二指腸にできる粘膜のただれ。いずれも過度の飲酒やストレスなどが原因で潰瘍ができます。アロエのアロエウルシンを摂取することで、粘膜を保護し痛みを和らげる効果が期待できるでしょう。
生で食べたりジュースにしたりと食べ方は問いませんが、気をつけたいのは皮の部分。アロエの皮には胃液の分泌を促すアロインが多く含まれており、潰瘍がある時には逆効果になってしまいます。ゼリー部分のみを食べるようにしてください。
またアロエを過信せず、医師の診断を受け適切な治療を行うことが大切です。
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アロエの副作用や安全性
用法用量を守る
アロエを傷のある皮膚に使う場合は、雑菌による感染症などを防ぐため煮沸が必要です。またあらかじめパッチテストをして、かゆみやかぶれが出ないか確かめてから使うようにしましょう。
また、アロエを食べる際は量に注意。成人の1日あたりの適切な摂取量はキダチアロエの葉で15g、アロエベラの葉で60gとされています。ですが個人差がありますので、まず少量から始め、少しずつ量を増やしていくようにしてください。
またアロエにはカリウムも多く含まれています。15gのアロエを食べると15mgのカリウムを摂取することになるので、腎臓機能に障害がある場合などは注意が必要です。
下痢になりやすい方や冷え性の方は気を付けて
アロインの持つ大腸を刺激する作用は2種類。緩下(かんげ)作用という緩やかに排便を促す作用のほか、瀉下(しゃか)作用という下剤のように強制的に便を排出する作用があります。一度にたくさん摂取することはもちろん、もともと下痢気味な人は注意してください。
またアロエは体温を下げる効果があるので、冷え性の人も注意が必要です。
妊婦さんや12歳以下の子どもはNG
アロインには子宮を収縮させる作用があるため、妊婦さんが摂取すると早産や流産を招くリスクがあります。生理中や授乳中の摂取もおすすめできません。
また内臓機能に問題がある人や12歳以下の子供も同様に控えましょう。
簡単アロエのおいしい「食べ方」「飲み方」レシピ
アロエスムージー
綺麗に洗ってトゲをとったアロエとバナナ・牛乳を、お好みではちみつと一緒にミキサーにかけるだけで、飲みやすくておいしいアロエスムージーの出来上がりです。
バナナの代わりにキウイやブルーベリーも相性がいいですよ。
アロエのお刺身
アロエベラには苦味が基本的にないので、お刺身やサラダでもおいしく食べられます。
アロエのトゲを取り除き、適当な大きさにカットします。包丁でそぎ取るように皮をむき、ゼリー状の部分を水道水でよく洗ったらふきんで、ぬめり気をとり薄くスライス。
わさび醤油のほかポン酢もよく合います。薬味を散らせば立派な1品に。
上手に使って健康的に美しい毎日を
上手に使えば様々な効能を得ることができるアロエ。用法用量を守って日頃の悩みの改善に役立てたいですね。
生葉を使う他、市販のアロエサプリメントなどを利用すればより手軽に取り入れられます。
ただしアロエは薬ではありません。また効果があるからこその副作用リスクもはらんでいます。
体調や体質によって効き目に差がありますから、カラダの不調や異常を感じたらすぐに使用をやめ、必要があれば医師の診断を受けるようにしましょう。
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