すぐにできる6つの応急処置
1、口を清潔に保つ
虫歯による痛みの場合、虫歯でできた穴に食べかすが詰まって歯や神経を圧迫している場合があります。食べかすを取り除き、口の中をいつも清潔に保ちましょう。うがい薬で口をゆすぐのも効果的。
ただしつまようじなど先がとがったもので食べかすを取る場合、患部を刺激しないように気をつけてください。痛みが悪化してしまうことがあります。
2、患部を頬から冷やす
患部を冷やすことで血流が抑えられるため、痛みが和らぎます。タオルに包んだ保冷剤を当てましょう。「冷えピタ」などの貼るタイプの冷湿布を貼ると簡単ですね。急激に冷やすと痛みが増す場合があるので、少しずつ温度を下げるようにします。
直接氷を口の中に含むと、一時的に神経が麻痺するので痛みが抑えられますが、知覚過敏の場合は逆効果になることもあります。
3、痛み止めの飲み薬を飲む
歯の痛みに効果のある「鎮痛剤」を服用することで、一時的に痛みを緩和させることができます。
ロキソニンは歯科などで処方される痛み止めで、同じ成分の「ロキソニンS」が市販されており即効性があります。ただし15歳未満には使用できないので、子供には「カロナール」を使う方がいいでしょう。
アスピリン系の「バファリン」は、鎮痛効果はロキソニンより穏やかですが、胃に優しいので服用しやすい薬です。
4、痛み止めの塗り薬を塗る
歯に直接痛み止めの薬を塗る方法も。
歯専用の痛み止めとして評価の高いロングセラー「新今治水(しんこんじすい)」には液体タイプとジェルタイプの「コンジスイQ」があるので、使いやすい方を選んでください。
一般的に液体タイプはやや塗りにくさはありますが、数分で効くという即効性が魅力で、塗りやすいジェルタイプは持続性があるのが特徴です。歯を傷めず、小児からお年寄り・妊婦の方も使えますが、歯茎や唇に付着させないように気をつけてください。
また、胃腸薬のひとつ「正露丸」には、虫歯の痛みを一時的に抑える効果があります。これは正露丸の「木(もく)クレオソート」という成分が知覚を麻痺させるため。適度な大きさに切ったものを虫歯の穴に詰めると痛みが楽になるでしょう。ですが治療薬ではなくあくまで応急処置で、歯科医によっては使用を推奨しない人もいます。
また、歯茎の痛みに特化した市販の塗り薬もあります。
5、ツボ押しで緩和


合谷は、手の甲側、親指と人差し指の付け根から少し指の方へずらした場所にあります。強く長めに押すように刺激しましょう。
歯痛点も手にあるツボ。手の平側、薬指と中指の真ん中の付け根にあり、合谷同様に強めに押します。
6、どうしても辛いときは夜間・休日救急センターへ
どうしても我慢ができない激しい痛みで、1秒でも早く診てもらいたいのであれば、夜間・休日救急センターを利用しましょう。地域によって診療時間は異なりますが、23時ごろまで受け付けてくれる場合も。
もちろん救急なので、こちらで継続的な治療は受けられません。根治には別に歯医者の予約を取りましょう。
妊娠中や授乳中に歯が痛いとき薬を使っていいの?
妊娠中や授乳中の薬の服用は気になりますね。鎮痛剤などを使う際には、必ず説明書をよく読んで、妊娠中や授乳中に服用しても影響がないか確かめてから使用します。
「新今治水」は、妊娠中でも安心して使えます。また「正露丸」は妊娠や授乳中の方に使ってはいけない成分は配合されていませんが、念のため医師に相談したほうがよいでしょう。
NG行動!歯が痛いときにやってはいけない3つのこと
1、運動や入浴で体をあたためる
2、アルコールやタバコなど刺激になるものはやめる
また、喫煙で気を紛らわせたくなるかもしれませんが、タバコには歯を刺激する成分が含まれているので、控えましょう。
3、歯をさわる
歯痛の症状と原因
1、ズキズキ痛む
■虫歯のレベルが「C3」以上
「C3」は、虫歯が歯髄にまで達していて、激痛があります。これは「歯髄炎」といわれる歯の神経の炎症で、歯の中の血管が膨張し神経組織が押しつぶされるため起こります。・医院での治し方
虫歯になった箇所を除去した後、歯髄の中も削るようにしてきれいにしていきます。その後薬剤で消毒、被せ物をするまで、5回程度の治療が必要です。
■被せものが取れた
被せものが取れただけでズキズキ痛むことはあまりありませんが、一度削った箇所は神経との距離が近く、痛みを感じやすくなっています。・医院での治し方
虫歯が原因で被せものが取れた場合、必要に応じて虫歯の治療を行い改めて被せものをします。取れた被せものがそのまま使える場合もあるので、変形しないよう容器に入れて歯医者に持参しましょう。
■頭痛
1〜2カ月間毎日のように群発的に強い痛みが現れる「群発性頭痛」の場合も、歯痛を伴うことがあります。また女性に多い片頭痛の場合、脳の毛細血管が炎症を起こし、周りにある歯の神経を刺激することで痛みが起きます。・医院での治し方
頭痛にともなう歯痛が疑われる場合は、痛みがひどいようであれば脳外科、脳神経内科、神経内科のある医療機関を受診しましょう。
2、噛むと痛い
■虫歯
ものを噛んだときの柔らかさを判断する「歯根膜(しこんまく)」が虫歯菌に蝕まれ、歯に「炎症」が起きているので、噛むことで刺激を感じ痛みがあります。・医院での治し方
歯の根の治療を行い、消毒をしてから虫歯の進行に合わせて詰めものや被せものをします。
■歯肉炎や歯周病
歯肉炎や歯周病によって、歯茎などの周辺組織が「炎症」を起こしているため、ズキズキというよりはドーンとした痛みがあります。膿が出て臭いがあることも。・医院での治し方
プラークや歯石を除去し、歯のぐらつきを止めるために再生療法を行います。
3、歯茎が痛い
■虫歯
虫歯の進行によって歯の神経部分に「膿」が溜まることで、歯茎が腫れて痛みがあります。ひどい場合は顔や首まで腫れ上がってしまうことも。・医院での治し方
溜まった膿を出し、歯の根の中を消毒し虫歯の治療を行います。
■親知らず
横や斜めに生えている親知らずは、周りの「歯茎に細菌」がたまりやすいので歯茎の腫れや痛みが出ることがあります。・医院での治し方
噛み合わせに影響がないようであれば、親知らずを抜歯します。
■食べかすの詰まり
虫歯でできた穴や詰めものが取れた後、また歯周病で動いた歯などには食べかすがどんどん詰まっていきます。この歯茎を圧迫する「食片圧入(しょくへんあつにゅう)」が起こることで周辺組織が腫れて痛みます。・医院での治し方
詰まった食べかすを取り除き、必要に応じて虫歯の治療などを行います。
■噛み合わせ
噛み合わせが悪いと、一部の「歯に負担」がかかることで痛みを生じることが。腫れた歯茎に歯が当たることでさらに痛みは強くなります。・医院での治し方
歯が欠けたりしている場合は欠損箇所を埋め、歯並びが悪い場合には矯正歯科治療を行います。
4、歯がしみる
■軽度虫歯のレベル「C2」
甘い物や冷たいものがしみるほか、叩くと響くような鋭い痛みがあれば、エナメル質を超え象牙質まで進行した虫歯「C2」が考えられます。・医院での治し方
虫歯箇所を完全に取り除き、詰めものをします。削らずに治療する方法もあります。
■知覚過敏
冷たいものや甘いものに対してキーンとしみる痛みが一時的にあり、歯の根元が露出していてかつ叩いても痛みはない場合は、知覚過敏の可能性が。歯の表面を守るエナメル質がなくなり、象牙細管という細い穴のある「象牙質が露出」することで起こります。・医院での治し方
軽度であれば、知覚過敏用の歯磨き粉でセルフケアも可能。そのほか象牙細管の表面を封鎖したり、象牙細管内の組織液を凝固させるなどの治療が行われます。
5、歯の治療後の痛み
治療後にもかかわらず歯が痛むことがあります。これらには、一時的ですぐにおさまるものから、再治療が必要なものまであります。
◆虫歯の治療後
虫歯の治療直後は、神経近くの歯を削っているため神経が過敏になっていることがありますが、2〜3日で落ち着いてきます。
◆虫歯が完全に取り除けていない状態での詰めものや被せもの
歯がどんどん侵食されてしまうことに。再治療の必要があります。
◆虫歯を削った後の金属の被せもの
歯に熱さや冷たさが伝わりやすくしみることがあります。また被せた分だけ高さがあるため、噛み合わせが馴染みにくい場合も。数週間で落ち着きますが、1カ月経っても痛みがあるようであれば歯医者さんに相談しましょう。
象牙細管を埋める薬剤を使用した場合、「薬」の量によっては痛みが出ることがあります。一時的なものなので次第におさまりますが、痛みが強い場合は治療した歯科医院に問い合わせを。◆神経を残した場合
神経を取らず治療した場合、残った神経に「細菌」が入って痛みが出ることがあります。一時的であれば鎮痛剤を服用し、強い痛みが続くようであれば神経を取り除く必要があります。◆神経を抜いた場合
治療器具で歯の根の中が傷ついた場合、また歯根の状態によって神経が完全に取り除けず残っている場合、痛みがあります。再治療の必要があるので歯医者さんに相談しましょう。
6、ストレスによる歯の痛み
急な歯の痛みを出さないための4つの予防法
1、詰めものや被せもののチェック
2、歯周病にも気をつける
3、虫歯治療や定期検診をうける
歯の健康を自分だけで管理するのは至難の技。詰め物や歯周病チェックのためにも、半年に一度程度定期的に検診を受けましょう。異常があっても早期に発見できるため、治療期間も短くすみます。
また虫歯治療を始めても、痛みが引くと歯医者さんへ行くのを忘れてしまいませんか?
歯痛がなくなったからと途中で勝手に中断してしまうとさらに強い痛みがやってきます。必ず完治するまで通院しましょう。
4、正しい歯磨きを身につける
重要!応急処置が終わったらすぐにかかりつけ医へ
今回紹介したのは、あくまで一時的な応急処置。鎮痛剤は痛みを和らげるだけで根本的な解決にはなりませんし、自分で進行した虫歯を治療することはできません。
なるべく早くかかりつけの歯医者さんに診てもらうようにしましょう。そしてセルフケアと並行して定期的に検診を受け、いつまでも健康な歯でいたいですね。
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