KIGI WORK & FREE 展 〜デザインユニット「キギ」の集大成〜

KIGI WORK & FREE 展 〜デザインユニット「キギ」の集大成〜

地方の美術館で、素敵なところはたくさんあると思います。
川島屋百貨店

KIGI

WORK & FREE 展

KIGI WORK & FREE 展
この夏、宇都宮美術館を訪れました。「KIGI(キギ)」の大規模な個展が開催されていたからです(現在、展覧会は会期終了)。
「キギ」は、植原亮輔さんと渡邉良重さんの二人が率いているデザインユニット。ポスターやパッケージなどをはじめ、さまざまなデザインやアートディレクションを手がけてきました。

一方で、オリジナルのプロダクトブランド「D-BROS(ディーブロス)」のデザインも手がけています。ビニール製でとりどりのプリント柄が施されている「フラワーベース」は代表的なプロダクトのひとつで、国内に限らず世界各国のミュージアムショップなどで販売されている人気商品。ロマンティックでありながら子供っぽさに陥らない、デジタルを駆使していても手仕事の温もりがある——その仕事ぶりを仰ぎ見てきたのです。

それらが一堂に会する展覧会というのですから、行かないわけにはいきません。宇都宮は思いのほか近く、東京駅からクルマでの移動も含めて2時間弱で着くのです。
少しだけ郊外の「うつのみや文化の森」の一画にある宇都宮美術館は、モダンだけれど奇をてらったところがない建築物。周囲に広がる緑と一体化しながら、確かな存在感を放っています。

展覧会のタイトルは「KIGI WORK & FREE」。「キギ」が創り上げてきた数々のWORK(クライアントワーク)とFREE(オリジナルプロダクトとプライベートワーク)が展示されていました。
中に入ると、緑がのぞめる回廊が、大きな吹き抜けのある大空間につながり、そこからさらに2つの部屋に続いていく——ちょっとユニークな空間の構成をうまく活かした展示がなされていて、時間が経つのも忘れてしまいました。

印象に刻まれたひとつは、「時間の標本」と題された作品。さまざまな本が開いた状態で置かれていて、紙に描かれた蝶々の羽が立体的に浮かび上がっている。美しい書籍に惹かれて蝶々が集っているような風景から、「これって何?」という不思議さと、「優雅できれい!」という気持ちが自ずと湧き上がってきたのです。

それともうひとつ。「集合」と題されたシリーズは、レースでできたかに見えるお花畑のようなものが、立体的に広がっているオブジェ。聞けば、たくさんのレースペーパーを集めてカットし、色を付した膨大な断片を組み合わせて接着したといいます。作品そのものが大きいので、惜しみない手間隙をかけて創り上げている。そこに込められている緻密さと楽しさが、華やかで豊かな気分をもたらしてくれました。

と、ここでは書ききれないほど、贅沢で豪華な展覧会だったのです。そして改めて、デザインやアートは人の心を動かすもの。そして心が動くと、身体も元気になると感じ入りました。
 KIGI
KIGI
WORK & FREE 展
宇都宮美術館にて(現在は会期終了)
川島蓉子 かわしま・ようこ
1961年新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科終了。ifs未来研究所所長。ジャーナリスト。多摩美術大学非常勤講師。