【医師に聞く!】女性特有の睡眠不足と女性ホルモンの深い関係・上手な対処法

【医師に聞く!】女性特有の睡眠不足と女性ホルモンの深い関係・上手な対処法

仕事や家事に追われながらがんばっている女性たち。でもふっとしたときに、とにかく眠たい!という衝動にかられることってありませんか?それはもしかすると女性特有の睡眠不足なのかもしれません。睡眠専門医の遠藤拓郎先生に教えていただきます!
睡眠不足による影響と上手な対処法 遠藤拓郎先生

女性に多い睡眠不足とは?

仕事や家事に追われる女性たちは疲れ気味で、あともう少し寝たいと感じる女性がとても多いように思います。私たち女性の睡眠に関する相談では、どのようなことが多いですか。

「働き盛り、子育て世代の30~40代の女性に多い睡眠の悩みというと『日中でも眠い』『眠くて耐えられない』『いつまでも寝ていたい』といった相談内容です。

これは女性にしかない『女性ホルモン』の働きによるものです。『睡眠』を男女で比較すると、女性の方が男性より10歳若いといわれています。これは30代の女性なら、20代の男性の睡眠と同じと考えることができます。

『睡眠が若い』とはどういうことかというと、『睡眠力が強い』ということになります。睡眠力が強いと、『睡眠の質が上がる』『深く長く眠ることができる』ので、本来、体にとってとても良いことなのですが、その一方で、『眠くて仕方がない』といった睡眠に関する相談につながってくるのだと思います」(遠藤先生) 

女性は、女性ホルモンの働きによって、「もっと寝たい」という睡眠不足のような感覚になりやすいと考えられるようですね。

女性ホルモンによる女性の睡眠への具体的な影響

「女性の睡眠は、『月経周期』が影響します。特に、生理前の1~2週間の『黄体期(おうたいき)』と呼ばれる間は注意が必要です。生理前の『黄体期』は、何もしなくても体温が1度ほど上がります。人は、体温が上がった後、急激に体温が下がるときに、眠気を催すようになっています。

でも生理前の『黄体期』で体温が高い状態が続くと、『眠いけど良く眠れない』というように眠りの質が下がり、『体がほてる』『日中も眠い』『何となく不快』『イライラする』といった『月経前症候群(PMS)』に陥りやすくなります。

ここで間違えないでほしいのが、『睡眠不足が続く』→『女性ホルモンが乱れる』→『月経前症候群』になるという過程ではなく、『月経周期による女性ホルモンの変化』→『睡眠に影響』→『月経前症候群』というように、女性の睡眠は『女性ホルモン』の圧倒的な力によって支配されているという点です。

一般に、『睡眠不足』が女性ホルモンの乱れに影響すると考えている方も多いようですが、その影響力はわずかで、女性ホルモンの変化が女性の睡眠に与える影響の方がはるかに大きいのです。このことを良く知って、睡眠を上手にコントロールすることが女性の睡眠には大切なことだと思います」(遠藤先生)

女性特有の睡眠を知って、睡眠を上手にコントロールする方法

こういった女性ホルモンの変化によって『睡眠の質』が下がると、どういったことが起こりますか。

「例えば、『顔がパンパンにむくむ』『イライラする』『日中なのに眠たい』『仕事や勉強のクオリティーが下がる』など人によって違いますが、いろいろな例が挙げられます。

こういった症状は、女性なら多かれ少なかれ毎月必ずある自然なことなのですが、女性の多くがこのことを忘れてしまっているように感じます。周囲の人はそのことに何となく気づいているのに、本人だけ自覚がなく、イライラしたり、無理して頑張りすぎてしまうことが良くないのです。

女性であるからには、こういったことが起こるんだということをしっかり自覚して、仕事や周囲との関係をうまくコントロールすることが大切です。そのために、私がおすすめする方法をお教えします。

それは自分の月経周期を手帳にメモして、生理前の『イライラ』や『過度な眠気』がいつごろ起こるのかを正しく知るということです。たいてい生理前1~2週間の間で、人によって10日前から眠気がくる、1週間前からイライラするなど日数や症状に違いがあります。それらを知って、その間は、
・無理をしないで睡眠時間をしっかり確保する
・大事なことは生理が始まってから、もしくは終わるころに設定する
などできる範囲で良いので、睡眠と生活をコントロールして、仕事や人間関係などを円滑におくれるよう調整することが大切と思います」(遠藤先生)

女性ホルモンは女性だけに贈られた神様からの贈り物

「私からみると『女性は神様からご褒美をもらっている』と思います。そのご褒美こそが『女性ホルモン』です。

男性にはない女性ホルモンによる睡眠への影響を知ると、女性ホルモンって面倒くさいと思ってしまうかもしれませんが、『女性ホルモン』は『若返りホルモン』といわれ、美肌や健康に大きく関与していることが分かっています。

一般に女性は、妊娠・出産、日常生活におけるさまざまな負担など、ストレスが多いといわれているにもかかわらず、男性より平均寿命が長いですよね。これは『若返りホルモン』ともよばれる『女性ホルモン』のお蔭なんです。

ですから、男性には与えられていない『女性ホルモン』のことを大切にして、そのメリットを最大限に活かすためにも、睡眠を上手にとって、美しく健康な女性でいてほしいと思います」(遠藤先生)


女性ホルモンのせいで男性より大変なことも多いですが、そのお蔭できれいや健康を維持できていると考えれば、前向きにがんばれそうですよね。遠藤先生にアドバイスをいただいた生理前の「眠たい期間」は、睡眠時間を多めにとるように心がけて、無理をしないことが大切なようです。
睡眠をうまくコントロールして、仕事でもプライベートでも笑顔で輝く女性を目指しましょう!
■監修
遠藤 拓郎 先生
東京睡眠医学センター スリープクリニック 東京睡眠医学センター長/睡眠医療認定医

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