歯の神経・・・抜くの?6つのデメリットと最新技術&抜かない治療も

歯の神経・・・抜くの?6つのデメリットと最新技術&抜かない治療も

進行した虫歯。神経を抜くって歯科医院で言われたけど、抜くのはどんな時?神経の役割、変色など抜いた時のデメリットや「歯が死ぬ」ということの意味、そしてセメントを使った抜かない最新治療まで、歯の神経を抜く「抜髄」に関するこれらの疑問を解消!

「歯の神経を抜く」ときってどんな症状?

歯の痛みを訴えて歯医者さんに行き、「神経を抜きましょう」と言われたことがある人も多いのではないでしょうか?

歯の神経は、これから詳しく見ていきますが簡単に抜いていいものではありません。しかし、症状によっては神経を抜くしかない時も。

「抜髄」つまり神経を抜かざるを得ない症状は、このような6つが挙げられます。

1、常にズキズキ歯が痛い

虫歯が奥深くまで進行し歯の神経にまで届いた場合は、ズキズキと耐え難い痛みが現れます。放っておいても痛みが引くことはなく、継続的に強い痛みがありまた麻酔も効きにくいでしょう。

神経を抜かなければ痛みはおさまりません。

2、噛むと激痛が走る

虫歯菌が神経全体を侵食していると、食事ができないほどの激しい痛みがあります。放置すると顎の骨に虫歯菌が入る可能性も。

3、冷たいものや温かいものが触ると長時間しみる

冷たいものと温かいもののいずれもがしみ、それが5秒以上続くときは虫歯菌が神経を侵しているということ。冷たいものがキーンとしみる、知覚過敏の一時的な痛みとは異なります。

4、痛み止め薬が効かない

市販の痛み止めを飲んでみても一向に痛みが引かない、触ったり噛んだりしなくても絶えずズキズキと痛む…。それはかなり虫歯が進行して、細菌が神経を刺激し続けていると考えられます。

5、炎症がひどくあごまで腫れる

頬やあご、リンパ腺までが腫れている場合。多くの場合強い痛みを伴っているはずです。神経は腐っており、さらに歯骨の中に膿が溜まっている可能性も。

6、根から膿がでている

歯の根の先から膿が出ているとき、もはやその神経はほぼ手遅れとなっています。歯の内部を消毒するためにも神経を抜く必要があるでしょう。

歯の神経の特徴|そもそもどんな役割があるの?

「神経があるせいで痛い!」と悪者のように思われがちですが、「歯髄(しずい)」いわゆる神経には様々な役割があります。

歯に栄養を運んでいる

歯の神経は単に痛みを感じるだけではなく、ごく細い血管が走っていて、動脈や静脈も存在し血液が流れています。この血液が歯の中に水分や栄養分を運ぶことで、割れにくい強い歯を作っているのです。

その他、年齢とともに変わる噛み合わせに自然に対応しすり減っていくことで、噛み合わせのズレを防いでいます。

温度差や虫歯になったことを教える

熱い、冷たい、痛い、しみる…これら全ての「歯の知覚」を司っているのが神経。これらを感じられることは、虫歯や知覚過敏など歯の異常を教えてくれる他、美味しく食事をするためにも大切です。

虫歯菌から歯を守る

歯の神経には、虫歯の細菌が歯の内部に侵入するのを防ぐ働きも。そして虫歯ができてしまった時には、歯を固くしたり再生したりなどして虫歯の急激な進行を防止します。

歯の神経を抜く6つのデメリット

歯を抜くと激しい痛みから解放されますが、以下のようなデメリットもあることを知っておきましょう。

1、歯が死ぬ・・・その意味は?

歯の役割で書いたように、神経は歯に栄養を与え必要に応じて補修しています。ですが神経のなくなった歯はその働きを失うので、根を張っており存在はしますが「死んでいる」歯となります。

そして一度失った神経は二度と生えてくることはありません。

2、歯の感覚がなくなる

歯が本来持っている全ての感覚を失うので、虫歯になってもその異変を感じることができません。しみたり痛みがあるという歯の異常を知らせてくれるシグナルを失うので、ケアを怠ると気付いた時には重度の虫歯になっているというリスクが。

また温度を感じなくなるので、味覚にも影響があります。

3、グレーっぽく変色する

血液が循環することで行われていた歯の新陳代謝がなくなり、古い組織がそのまま残ることでグレーっぽく黒ずみ変色します。

エナメル質の内部の象牙質で起きているため、エナメル質の漂白ホワイトニングでは元に戻すことはできません。

4、脆くなり割れたり傷みやすくなる

栄養と水分が供給されなくなった歯は、立ち枯れした木のようにもろくなり、硬いものを食べたりした際に割れやすくなっています。

また虫歯になった時に歯を固くしたり急激な進行を食い止めることができなくなり、虫歯になりやすくなります。

5、神経を抜くと他の歯が痛むことがある

根の奥に膿が溜まっていたり炎症を起こしたりしていると、神経を抜いた後に他の歯が痛むことがります。

また神経を抜く際に隣の歯を傷つけてしまったり、ということも無いとは言い切れません。

6、歯茎も変色する

歯の根が黒ずんでくると、歯茎からも透けるため歯茎も黒ずんで見えます。黒ずんだ歯をウォーキングブリーチなどで白くすることで、歯茎も元の色に戻すことができるでしょう。

歯の神経を抜くメリットなんてあるの?

多くのデメリットはありますが、メリットもあるからこそ歯科医は抜髄(歯の神経を抜く)を提案しています。

歯の神経の抜くと痛くなくなる

神経を抜くまでに虫歯が進行している場合、激しく強い痛みがあるでしょう。神経を完全に取り除いてしまえば、「痛み」を感じることは基本的にありません。

虫歯を進行させない最終手段

虫歯が悪化すると、神経部分を菌が通る通路として歯骨まで菌が到達してしまいます。神経を除去し念入りに消毒することで、さらに悪化することを防ぐことができるのです。

放置することが一番怖い結末に・・・

虫歯が痛いと思っていても、痛みが引いたので歯医者さんに行かない、という人は少なくないでしょう。ですがこれは歯の神経が死んでしまったため痛みを感じなくなったに過ぎず、決して治っているわけではありません。

この状態で放っておくと、顎の骨の中で膿がたまり歯茎が腫れたりし、最悪の場合骨髄炎になる可能性も。放置は最も危険です。

歯の神経の抜き方|基本治療法の6つ手順

歯の神経を抜く治療は、場合によっては何度も通う必要があります。確実に治療をしなければ、やり直しになったり数年後に痛みが出たりすることも。最後までしっかり治療を受けるためにも、基本の治療手順をおさえておきましょう。

1、歯の根の中を消毒し細菌から守る

歯の根の中に唾液が入ると、様々な細菌に感染してしまいます。それを防ぐために、ラバーダムやZOO(ズー)という器具を使って唾液が入らないように注意して消毒します。

2、神経をしっかり取り切る

歯の神経は、前歯や小臼歯で1〜2本、大臼歯で1〜4本と人によって歯によって本数が異なります。またいくつも分かれていたり複雑な形をしており、歯の根の先まで確実に全ての神経を除去しきれていないと「残髄炎(ざんずいえん)」と呼ばれる痛みや不快感が起こるので、慎重に行います。

3、神経の管をドリルでキレイな形に

神経が除去しきれても、そのままの管では複雑な形状で薬が確実に行き渡りにくいため、根管形成(こんかんけいせい)や根管拡大(こんかんかくだい)など形を整える作業を行います。

4、薬を詰めて仮の詰め物や被せ物で覆う

形が整った管に、細菌の入る隙間を作らないよう、ゴムのように密着する消毒薬を緊密に詰めていきます。空気が入ると感染や炎症、痛みの原因に。レントゲンで、根の先まで薬が確実に入っているかを確認し、仮の詰め物などをします。

5、完全に神経が抜けるまで消毒繰り返す

完全に神経が抜けきったのが確認できるまで消毒作業を繰り返し、その度に仮の詰め物や被せ物を用い、唾液が入らないように蓋をします。これを「根管治療(こんかんちりょう)」と言います。

6、形を整え最終的にフタをする

詰め物や被せ物を使って歯の形を整え、最終的なふたをすることで、ようやく抜髄治療(歯の神経を抜く治療)は終了です。
仮の被せ物のまま通院をやめてしまうと、内部に細菌が入り込み痛みが出るほか、治療も一からやり直しになってしまいますので気をつけて!

歯の神経を抜く通院回数と費用とは?

ほとんどの場合、歯の神経を抜く治療は3回ほどで終了します。ですが歯の神経の管が多ければ多いほど時間がかかりますし、根の中が腐っていたり顎の骨まで細菌が広がっていると消毒に何度も通院する可能性も。

費用は、歯の根の数によって異なりますが、保険による3割負担として、1回あたりおよそ2,000円から5,000円です。

歯の神経を抜いた後の治療方針

歯の神経を抜いたら痛みはほとんどの場合無くなります。ですが歯が割れやすくなったり変色したりするので、注意深くケアをすることが大切。

■歯が割れないように補強や変色を防ぐ

堅いものを噛む時などに割れやすくなるので、あらかじめ補強する必要があります。保険診療の場合は銀歯などを、自由診療の場合はセラミックなどの被せ物などをすることで歯を保護しなければなりません。

また数ヶ月で黒ずんでくるので、歯を白くする治療も行います。通常のホワイトニングはエナメル質の黒ずみに効果があるものなので、内部から薬を浸透させる「ウォーキングブリーチ」を行うのが一般的。

■神経を抜いた当日は飲酒NG

神経を抜いた日は、痛みがあることもあるので、痛みを増してしまうアルコールの摂取は避けましょう。またほおなどの腫れが引いていない場合、膿による炎症が残ってる可能性も。

■抜いたあと・・・痛いのは神経の取り残し!?

神経を抜いても痛みが続くことがあります。これは薬を入れた際に圧力をかけた刺激で痛みが出ているためで、一時的なもの。痛み止めを服用し、数日間様子を見ましょう。

人によっては噛んだ時の痛みや違和感が1年ほど続くこともあります。また稀に神経の取り残しの可能性もあるので、通っている歯医者さんや根管治療の専門医に相談してみることをおすすめします。

一般歯科とは違う根管治療専門の歯医者の最新治療術とは?

一般歯科でも歯の神経を抜くことはできますが、根管治療を専門とする歯科医もいます。最新治療技術などで、より確実に素早く神経を除去することができます。

◆治療を正確に!CTスキャンと拡大鏡の使用

複雑な形の神経の管を、3次元で確認できるCTスキャンを使って確認します。
レントゲンよりもさらに正確に映し出し診断することで、治療の精度をぐっと上げることができます。

また、歯の神経は0.1㎜の細さなので、肉眼では見落としてしまうことも。
マイクロスコープを使えば20倍にも拡大でき、さらに確実に取り残すことなく除去することができます。

◆治療を素早く!ニッケルチタンファイルの使用

神経の管の形を整えるには時間がかかるもの。ニッケルチタンファイルを使うことで素早く治療ができ、口を開けている時間が格段に短くなります。

どうしても神経を生かしたい!抜かない治療方法はあるの?

神経を抜いた歯はもろくなったり虫歯になりやすくなるので、寿命が短くなります。そのため、できるだけ神経を取らずに治療する方法も色々と確立されています。

もちろん歯の状態によっては適さない場合もありますが、かかりつけの歯医者さんに相談して見てはいかがでしょうか。

抜かない治療1、3Mix法の特徴

3種類の抗生物質を混ぜた抗菌剤を用いて歯の中を殺菌し無菌にします。痛みも少なく歯の神経を残せる可能性が高くなり、さらに象牙質の再石灰化を促すことができます。

抜かない治療2、ドックベストセメントの特徴

ドックベストセメントに含まれている鉄イオンと銅イオン。これらの殺菌力で神経を温存します。3Mix法と似ていますが、天然ミネラルによる殺菌力が永続的に続くこと、治療が簡単で治療回数が少ないなどいくつかの点でより優れた治療法です。

抜かない治療3、カリソルブ治療の特徴

カリソルブ治療とは、歯を削らない虫歯治療です。象牙質の虫歯に塗布すると虫歯部分のみが柔らかく溶けるため、歯の健康な部分には影響がありません。溶けたものを特殊な器具で除去していきます。

神経に近い虫歯でも、神経を残せる可能性が高い治療法。

神経を抜くのはリスクも考えて慎重に!

「神経を抜いてしまえばもう痛くなくなる」と安易に考えがちですが、神経を失うことによるリスクはメリットよりもはるかに多いのです。

もちろん抜くしか方法がない場合もありますが、歯の寿命を考えてもできるだけ歯の神経を残せるのがベスト。

そのためには、歯に異常を感じたら早めに診察を受けることが大切です。初期の虫歯なら治療も短期間で費用もあまりかかりません。手遅れになって神経を抜く以外方法がなくなる前に、きちんと治療を受けましょう。

また、すでに神経を抜いた歯がある人も、きちんと治療を行えば何十年も使っていくことができます。他の歯以上に気をつけてケアしていきましょう!
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