田中信彦 器 〜色合いが美しい器の数々〜

田中信彦 器 〜色合いが美しい器の数々〜

本屋に行くと、食と器にまつわる書籍をたくさん見かけます。手に取って眺めてみると「なるほど」と思うことがあるし、「こうやって使ってみよう」と想像が広がっていきます。
川島屋百貨店

田中信彦

田中信彦 器
好きで数は持っているのに、日々使う器となると、意外と限られていて、もったいないと感じてきたのです。

「器の色の組み合わせを楽しむ」ということも、本がきっかけになった“発見”のひとつ。真っ白な器だけ、モノトーンの器だけ、という方針もあるのですが、色味がある器も美しいもの。「これはいい」と取り入れようと思いました。主役になったのは、田中信彦さんの器です。
出会いは、つい最近のこと。知人のショップで「色のうつわ」という題名で個展をやっていて、訪れたら偶然、田中さんがいらっしゃって、いろいろ話し込んで手に入れたのです。

派手過ぎず、地味過ぎない。甘め過ぎず、辛め過ぎない。ちょうどいい加減の色が施された器の数々を、とても好ましいと感じました。
使ってみると、料理を映えさせてくれるし、他の食器ともよく馴染む。シックな色味が、華やぎや、明るさを添えてくれる。出番の多い器になりました。

聞けば田中さんは、大学時代に陶芸クラブに所属していて、それが高じて就職することなく、京都の専門学校に通ってから信楽の窯元で働き、独立して器作りを続けてきたといいます。
賭する思いや工程について、明るくわかりやすく語ってくれる様子に、作る器に人となりが現れていると納得しました。

さて、この絶妙な色合いは、銅やコバルト、クロム、ニッケルといった酸化金属の絵の具を塗り、釉薬をかけることでうまれるそう。釉薬の流れ具合によって、色のグラデーションが微妙に変わってくるので、一点一点表情が違うのも特徴です。

朝ごはんには、大きな白いプレートに、パンやサラダと一緒に、田中さんのスープカップを置いてみる。「ブルームーン」という深い青を基調としたシリーズに、秋のかぼちゃの煮つけを盛り込んでみる――。
外側と内側で違う色を付けている器もあって、使っていて楽しいのです。服で言えば、裏地を見せながら表地も遊んでいるジャケットのようなもの。ならば、中に入る料理は人のようなもの。そうとらえれば、料理を作る気持ちがウキウキします。

料理ありきで器を選ぶのもいいけれど、器ありきで料理を作ってみるのもいいものだと教えてくれた器です。
 田中信彦
田中信彦

価格:色のうつわスープカップ ※写真の器 3,800円(税別)
問い合わせ先:田中信彦
MAIL:nobi-tnk@h2.dion.ne.jp
川島蓉子 かわしま・ようこ
1961年新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科修了。ifs未来研究所所長。ジャーナリスト。