消化器内科医に聞く!便秘が引き起こす、怖い病気の数々とは

消化器内科医に聞く!便秘が引き起こす、怖い病気の数々とは

便秘が体に悪いことはわかっていても、つい放置していませんか? でも、ひどい便秘のせいで病院を訪れる人は多いもの。なかには腸の影響により、怖い病気が引き起こされることも……。おおたけ消化器内科クリニック院長の大竹真一郎先生にお話を聞きました。
女性に多い「隠れ便秘」に要注意 大竹真一郎先生

さまざまな病気を引き起こす便秘、その定義とは?

そもそも、女性には「便秘だと自覚していない『隠れ便秘』の人が非常に多い」と、大竹先生は言います。

「女性ホルモンの性質や、男性に比べて筋力が弱い体質などから、女性にはスムーズに排便しにくい方が多いです。女性のうち、半数以上が便秘と言えると思います。

便が腸に長くとどまっていて、排便が順調ではないものをすべて便秘と言います。まず、3日以上出ない人は便秘だと考えてよいでしょう。毎日出る人や、一日に何度も出る人であっても、お腹が張っていたり、残便感があったり、痛みや違和感があったりするなら、便秘の可能性があります。便秘薬を使わないと出ない人はもちろんです。さらに、下痢気味の人も、便秘の可能性があります」(大竹先生)

便秘によって、がんが発生するリスクも……

便秘気味ということは、つまり腸内環境が乱れているということ。悪玉菌が優勢の腸は、一体どんな病気を引き起こすのでしょうか?

「まず、女性に多いのが、便秘による痔。便秘気味で、硬い便が出る人は『切れ痔』になりやすく、排便時にいきみすぎることで肛門の皮膚が切れ、出血してしまいます。また、肛門付近に腫れ物ができる『いぼ痔』は、便秘によるいきみのせいで、肛門から腫れ物がいぼのように出てしまった状態。塗り薬や座薬で対処しますが、癖になりやすいので、お尻に負担をかけない生活が大切です。出産経験のある女性もなりやすい病気ですね」(大竹先生)

さらに、便秘によって腸内環境が悪化することが、シリアスな病気を引き起こすことも!

「大腸がんと肝臓がんを引き起こす要因のひとつとして、便秘が挙げられています。

便秘と大腸がんの直接的なつながりを示したデータは、実はまだありません。でも、腸内の悪玉菌が生み出す毒素は、大腸がんに関係していると言われています。腸内環境のバリア機能がうまく働かなくなることで、発症しやすくなるのです。

また、肝臓がんと便秘は密接な関係にあります。肝臓がんに発展する前にまず、肝硬変になるものなのですが、最近はアルコールをほとんど飲まなくても引き起こされる『NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)』という肝炎があり、この原因として腸内環境の悪化が指摘されています。便秘によって増えた悪玉菌による毒素は、血液に含まれて全身をめぐりますが、その血液は最初に肝臓を通ります。そのため、肝臓は悪玉菌の毒素の影響を受けやすいというのが、NASHを引き起こす原因のひとつのようです」(大竹先生)

女性のがん死亡原因の一位は大腸がん。将来かからないようにするために、腸内環境をよくしておくことは大切ですね。

便秘によって、女性がかかりやすい2つの病気

ほかにも便秘が理由で、次のような病気になることもあるそう。

「中年以降の女性に多い病気として、虚血性大腸炎があります。便秘などの理由により、腸内の血のめぐりが悪くなることで、大腸の粘膜が荒れて炎症を起こす病気です。お腹の左側に痛みが生じ、出血を伴います。治りやすい病気ですが、後遺症で便が細くなり、さらに便秘が悪化する場合もあります。

また、女性がかかりやすい病気として、直腸瘤があります。日ごろから排便時に強くいきむことが多い人や、いきんで出産をした経験のある人はとくにかかりやすい病気です。いきむことで肛門のそばにある直腸の壁がゆるくなり、大きめの瘤が膣の後ろ側にできた場合、そこに便が入り込んで溜まってしまうのです。残便感が続くようになり、ひどい場合は手術が必要になります」(大竹先生)

便秘が原因で、こんな病気にかかるかもしれないとは! 便秘を放置して、ひどくなってから病院を訪れるのでは遅いことも…。普段から腸内環境を整える食生活を送ることはもちろんですが、「たかが便秘」と思わずに、変だなと思ったときは専門医に相談してみることも大切ですね。
■この記事は編集部&ライターの経験や知識に基づいた情報です。個人によりその効果は異なります。ご自身の責任においてご利用・ご判断ください。
■監修
大竹 真一郎 先生
おおたけ消化器内科クリニック 院長/消化器内科医

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