近年、梅毒が急増中!性交渉がある全員が気をつけたい、性の病気

近年、梅毒が急増中!性交渉がある全員が気をつけたい、性の病気

一度も性感染症にかかったことがないと「私はなりにくい」と思い込み、他人事に感じていませんか? でも、過去に性交渉を持ったことのある全員が、性の病気にかかる可能性があります。アヴェニューウィメンズクリニック院長の福山千代子先生に聞きました!
教えてドクター! 気をつけたい、性の病気とトラブル 福山千代子先生

性の病気、かかったことがないからと安心していませんか?

性の病気にかかったことがないと、つい「今まで大丈夫だったから」と安心しがちです。また、「コンドームを使っている」「信頼できるパートナーとだけ付き合っている」「最近、性行為をしていない」などの理由で、他人事に感じている人も。でも、福山先生によると、たとえ年単位で性交渉を持っていない人でも、性の病気にかかる可能性はあるそう。それはなぜでしょうか?

「性交渉によって感染する病気を『性感染症』と呼びます。さまざまな種類がありますが、そのなかには正しくコンドームを使えば防げるものと、コンドームを使っても防ぎようがないものがあります。なかには、キスだけでうつるものもあるのです。

また、感染後すぐに症状が出るものもありますが、数ヶ月や数年と潜伏期間が長いもの、さらに一度治しても再発する病気もあります。そのため、『コンドームをつけているから大丈夫』『最近セックスをしてないから』『私もパートナーも今、病気ではない』と思っていても、安心とは言い切れません。忘れたころに症状が出るケースや、自分またはパートナーの再発によってかかることもあるのです」(福山先生)

そう聞くと怖くなってきます……たとえば、お風呂に一緒に入るだけでも、かかる場合はあるのでしょうか?

「性感染症はウイルスによる感染ですので、寄生する細胞がないとうつりません。よく、カビを想像される方がいるのですが、ウイルスはひとつあると勝手に増殖するものではないのです。そのため、お風呂に一緒に入ったり、タオルを共有したり、同じ椅子に座ったりする程度ではうつりません。

基本は、性行為のように濃厚な接触によってうつります。ただし、口唇ヘルペスと梅毒に関しては、キスでもうつる場合があります」(福山先生)

なお、梅毒は近年、患者数が急増している病気です。詳しくはのちほど解説します。

コンドームでも防げないことの多い、性感染症の数々

性感染症には、どんな種類があるのでしょうか? まず、コンドームを正しく使えば防げる病気を教えてください。

「コンドームによって防ぎやすいのは、クラミジア(性器クラミジア感染症)と、淋病とも呼ばれる淋菌感染症です。ただ、クラミジアは症状が出にくく、女性の8割・男性の6割の患者さんが無症状と言われ、相手とうつし合ってしまいがち。おりものの増加、性交痛、性交時の出血などで気づくこともあります。放置すると、不妊や子宮外妊娠の原因になることも。また、オーラルセックスで咽頭にうつることもあります。

淋病は、女性はほぼ無症状ですが、女性に比べて男性のほうが強い症状が出るため『パートナーが淋病だった』ことから発覚することも多いです。女性の症状としては、おりものの増加、不正出血、腹痛など。放置すると急に悪化し、骨盤腹膜炎になって発熱することもあります。こちらも咽頭にうつることがあります」(福山先生)

コンドームを使って防げるのは、この2つだけ……! ほかの性感染症には、どんなものがあるのでしょうか?

「代表的なものとして、ヘルペス(性器ヘルペス感染症)と尖圭コンジローマがあります。これらの病気は、女性であれば膣の外側である外陰部、男性であれば陰茎のまわりにもできることもあるので、コンドームだけでは防ぎきれません。

ヘルペスは一度かかってしまうと再発しやすい、厄介な病気です。神経節にウイルスが住みついてしまい、性行為がなくても、疲れたときに再発することがあります。症状は非常に強く、39度近い高熱が出たあとに、外陰部にできた水泡が破裂すると、排尿したり、下着が触れたりするだけでも辛いほどの激痛に見舞われます。

尖圭コンジローマは反対に、痛みもかゆみもありませんが、男女ともに性器またはその周辺にイボができます。女性の場合、膣内や子宮の入り口にできてしまうと、ほとんど気づけません。また性器周辺も毛で覆われていると見えにくく、自覚しにくいです。これも再発しやすい病気です」(福山先生)

さらに注意したいのが、ここ数年で一気に広がった、梅毒だそうです。

日本で急増している性感染症「梅毒」はどんな病気?

かつて日本では、梅毒は江戸時代の遊郭で広がった病気として知られていましたが、医療の発達で影をひそめていました。しかし、ここ数年で劇的に増加し、話題になっているそうです。

「梅毒はこの5~6年の間で、驚くほど急増した性感染症です。私も含め、多くの医師がそれまでほとんど梅毒の患者さんを診たことがなかったのですが、一気に増えたので勉強し直したほどです。

梅毒が厄介な点はふたつ。まず、1期から4期まで段階を経て悪化するのですが、期の境目でいったん症状が消えるので『治った』と誤解しやすいこと。次に、粘膜同士が触れ合うと感染するため、性交渉のみならず、キスだけでもうつることがあります。

症状はまず、しこりのようなできものができますが、しばらくすると治ります。その後、全身に赤い湿疹が広がります。大抵はこの段階で皮膚科に行き、医師に指摘されて気づきます。また、性器や口の中に潰瘍が出ることもありますが、ヘルペスのような痛みは伴わないので、気づかない人も多いです」(福山先生)

体に発疹が出ても、頑固に「数ヶ月、性行為をしていないから」と婦人科検診を拒み、病状が進行することもあるそうです。

「進行すると心臓や血管、骨にまで病変が及ぶほか、脳の神経が侵されることも。最終的には死に至る病気です。現在の医療では、早めにきちんと治療すれば治りますが、途中で症状が落ち着いてしまうため、抗体が残っているのに薬を飲むのをやめてしまう患者さんが多いのは問題です」(福山先生)

コンドームでも防げず、どんなに信頼できるパートナーでも相手の過去まではわかりません。そう思うと防ぎようがなくて怖くなってしまいますが、大切なのは「定期的な検診」に尽きるそうです。性生活はもちろん、自分の体の安全のためにも、年に一度は性感染症の検査を含めた婦人科検診を受けてみませんか?
■この記事は編集部&ライターの経験や知識に基づいた情報です。個人によりその効果は異なります。ご自身の責任においてご利用・ご判断ください。
■監修
福山 千代子 先生
アヴェニューウィメンズクリニック 院長/産婦人科医
  • 性交痛や性欲減退に関わる、更年期が近い女性の「膣萎縮」の解決策とは?(5月25日公開予定)

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