キスだけでうつることも!コンドームでも防げない性感染症の数々

キスだけでうつることも!コンドームでも防げない性感染症の数々

コンドームさえしていれば、性感染症にはかからないと思い込んでいませんか? 実際は、コンドームで防げない性感染症も多いものです。症状や治療法を知っていれば早期発見につながります。アヴェニューウィメンズクリニック院長の福山千代子先生に聞きました。
教えてドクター! 気をつけたい、性の病気とトラブル 福山千代子先生

コンドームをしているのに、性感染症が防げない理由

避妊目的だけでなく、性感染症を防ぐためにコンドームが必須であることはわかっていても、実は「コンドームをしていれば大丈夫、ということはない」ことをご存じでしょうか? 

「性感染症には、コンドームで防げるものと、コンドームをしていても防げないものの2種類があります。性感染症のなかでも非常に多い、クラミジア(性器クラミジア感染症)と淋病(淋菌感染症)は防ぐことができます。また、HIV感染症もコンドームによる予防が有効です。しかし、ヘルペス(性器ヘルペス感染症)や尖圭コンジローマ、そして近年日本で急増している梅毒、さらにB型肝炎は、コンドームをつけただけでは防げないのです」(福山先生)

なぜ、コンドームをつけているのに防げないのでしょうか?

「それは症状が出る場所によります。女性の膣内、または男性の陰茎内(尿道)に感染源がある場合は、膣内に陰茎を挿入することで感染します。そのため、コンドームをして膣内と尿道から出る精液を遮断していれば、感染を防止できるのです。

しかし、なかには膣や陰茎の外側に症状が出る病気があります。女性の場合は膣の入り口にある外陰部、男性の場合は陰茎の周辺、また肛門などに症状が出た場合、そこが相手の性器、または性器周辺に触れると感染してしまいます」(福山先生)

さらに、挿入を伴う性交渉をおこなっていない場合でも、感染する場合があるそう。

「梅毒に関しては、粘膜同士が触れ合うと感染するので、キスだけでもうつることがあります。なお、クラミジアと淋病に関しては咽頭への感染も多く、挿入はなくてもオーラルセックスだけで感染することもあります」(福山先生)

強い痛みを伴ったり、イボができたり……放置できない性感染症

今回は、コンドームを使っても予防ができない性感染症ついて、福山先生に詳しく教えてもらいました。

【ヘルペス(性器ヘルペス感染症)】
●症状:強い痛みを伴います。まず、39度くらいまで発熱し、解熱剤を飲んでも治りません。その後、外陰部にできた水泡が破裂し、排尿もできないほど強く痛みます。
●潜伏期間:感染してから、2~10日ほどで症状が出ます。一度かかってしまうと再発しやすく、治しても次またいつなるかがわからない病気です。
●体に及ぼす影響:痛みが強いので、まず放置することはないでしょう。妊娠中に再発すると、子どもへ感染する恐れがあります。
●治療法:抗ウイルス性の内服や塗り薬で治します。ひどい場合は入院して点滴をおこなう場合もあります。

「生活が困難なほどの激痛に見舞われます。膣の外側である外陰部に水泡ができて破裂するので、陰茎以外の部分にも触れてしまい、コンドームをしても完全には予防できません。ヘルペスに感染しても、元気なときは症状が出ないこともありますが、ウイルスは自然と消えることはありません。神経節に住み込んでしまい、ストレスや病気などで免疫力が落ちているとき、症状が出るようになります。つまり、しばらく性交渉を持っていなくても再発によってかかる病気です。ヘルペスは一生、再発する可能性があるのです。また、口唇ヘルペスと言って口にできるものもあるので、挿入せずにオーラルセックスだけでもうつる場合があります」(福山先生)

【尖圭コンジローマ】
●症状:痛みやかゆみはありませんが、性器またはその周辺にイボが出ます。
●潜伏期間:感染してから、3週間から8週間くらいかけて症状が出ます。そのため、忘れたころに気づくので、原因となる性交渉が特定しにくいこともあります。
●体に及ぼす影響:放置すると、イボが増えることがあります。また、出産時に、子どもにも感染の恐れがあります。
●治療法:塗り薬、または手術です。性器のまわりにできている場合は塗り薬が有効ですが、膣内の場合は手術が必要です。

「尖圭コンジローマはHPV 6型と11型のウイルス感染によって発症し、痛くもかゆくもないのですが、できるイボが非常に気持ち悪くて不快です。膣内や膣の入り口にできると気づけず、外陰部にできても毛で覆われた部分だと目で見ることもできないので、放置されがちです。男性も同様で、陰茎部にできることもあれば、陰茎の周辺や肛門にできる人も。コンドームを使っても防ぎにくい病気です」(福山先生)

非常に強い感染力を持つ性感染症、梅毒とB型肝炎とは?

さらに、非常に強い感染力を持つのが、梅毒とB型肝炎だそうです。

【梅毒】
●症状:1期~4期まであり、期の境目にはいったん症状が消えます。1期は性器や口腔内に、硬いしこりができますが、自然と消えます。痛みはあまりありません。2期に入ると、手足や全身に「バラ疹」という赤い湿疹が広がります。その後、しばらくの潜伏期間を経て、結節という腫瘍が皮膚や筋肉などに広がり、最終的には血液や神経にまで病変が及んで、死に至ります。
●潜伏期間:感染してから、1期の症状が出るまで3週間から3ヶ月ほどかかります。そのため、検査が早すぎると偽陰性(陽性なのに陰性の結果が出てしまうこと)になることも。
●体に及ぼす影響:放置すると、症状が出たり消えたりを繰り返しながら、数年がかりで進行して、死に至る病気です。
●治療法:抗生剤の内服で治しますが、進行度合いによって治療にかかる時間や治療法も異なります。大抵は1日3回の内服、2週間ごとの通院と採血が必要になります。

「梅毒はこの5~6年の間で、日本で急増した性感染症です。それまでほとんど梅毒の患者さんを診たことがなかったのですが、一気に増えたので勉強し直したほどです。梅毒は、1期から4期まで段階を経て悪化するのですが、期の境目でいったん症状が消えるので『治った』と誤解しやすいので、とくに1期や2期のはじめは見逃されがち。大抵は2期に皮膚科で指摘されて自覚します。また、粘膜同士が触れ合うと感染するため、キスやオーラルセックスだけでもうつることがあります。そのため『性交渉はしていない』と頑固に婦人科を来院せず、気づいたらかなり進行していた患者さんもいました」(福山先生)

【B型肝炎】
●症状:感染すると90%が一過性で終わります。初期症状としては、倦怠感や食欲不振、微熱が続くなど、自覚しにくいものが多いです。
●潜伏期間:感染してから数ヶ月後に症状が出始めます。悪化すると、数年から数十年かけて肝臓がんへと進行していきます。
●体に及ぼす影響:倦怠感、食欲不振、発熱など。
●治療法:通常は婦人科ではなく、内科での投薬治療になります。ワクチンもあります。

「B型肝炎もC型肝炎も、多くは輸血などで血液を通してうつるか、または生まれつきウイルスを持っている人(産道感染)であることが多いです。しかし、B型に関しては体液を介しても感染するため、性交渉でうつることがあります。B型は非常に強い感染力で、患者さんを刺した注射針に、ほんの少し触れただけでもかかります。そのため、病院の針刺し事故により、医療関係者がかかることが多いです。それほど強力な感染力なので、コンドームでは防ぎきれないこともあり、婦人科で治療することはほとんどなく、大抵は内科での治療になります」(福山先生)

コンドームでも防げない性感染症の予防方法

「コンドームでも防ぎきれない」と聞くと、どうしたらいいのかわからず、怖くなってしまいそうです。どうやって対処したらよいのでしょうか?

「まず、コンドームはつけないよりは、つけたほうが絶対にいいです。女性は膣内、男性は陰茎自体に感染源がある場合は、コンドームで防ぐことができます。あとは、定期的な検診が必要です。日本では、女性が婦人科で、男性が泌尿器科で定期的に検診をすることが一般化しておらず、定期的に検査をしている人がとても少ないです。私のクリニックでも、定期検診をされているのは外国暮らしの経験が長い方が多いですね。複数の相手と性交渉を持っている人ということではなく、パートナーはひとりだけれど『最近、パートナーが変わったので検査をしておきたい』『長く同じパートナーだけれど、定期的に検査はしておきたい』と考える方々で、そのくらい当たり前のこと、普通のこととして受け止めていただけるようになってほしいと願っています」(福山先生)

性感染症になりにくい体質、なんて存在しません。たまたま、性感染症にかかっている人とキスや性交渉などの接触を持てば、誰にでもなる可能性があります。「性感染症の検査は、子宮頸がんの検査と変わりません。おりものを取り、1~2週間で結果がわかります」と福山先生。毎年、子宮頸がんの検査をしている人は多いと思いますので、そのタイミングで一緒に検査を受けてみませんか?
■この記事は編集部&ライターの経験や知識に基づいた情報です。個人によりその効果は異なります。ご自身の責任においてご利用・ご判断ください。
■監修
福山 千代子 先生
アヴェニューウィメンズクリニック 院長/産婦人科医
  • 性交痛や性欲減退に関わる、更年期が近い女性の「膣萎縮」の解決策とは?(5月25日公開予定)

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