女という香り。シャネルN⁰5が時代を超えて、教えてくれること

女という香り。シャネルN⁰5が時代を超えて、教えてくれること

現代女性のためのスタイルを提案し、常に世界中の女性の憧れの存在である 「シャネル」。 このブランドにまつわる“5つのコード”を毎月一回、GING...

現代女性のためのスタイルを提案し、常に世界中の女性の憧れの存在である 「シャネル」。 このブランドにまつわる“5つのコード”を毎月一回、GINGERが紐解いていきます。

シャネルにとって「5」は「ラッキーナンバー」「タイムレス」「フェミニニティ」

「シャネル」の代名詞であり、「フレグランス」の代名詞、「Nº5」。ガブリエル シャネルの依頼によって、シャネル初代調香師エルネスト・ボーがクリエイト、クチュリエが世に出した革新的な香水だ。1921年の誕生以来、100年近くが経つ今なお、世界中で愛され続けている、名香の筆頭。 香りを超えて思い浮かぶのは、マリリン・モンローの「寝るとき、身にまとうのは、シャネル Nº5を数滴」という言葉か、それともボトルがモチーフになったアンディ・ウォーホルのシルクスクリーンだろうか。香りの成り立ちはもちろん、それにまつわるさまざ まな伝説を生んでいる、言わば「革新」の代名詞とも言える存在なのである。

 シンプルの極みである、たったひとつの数字を名称にしたことも、大きな革新。世界共通の数字を用いたことが、言葉を越え、国境を越え、年齢や性別をも超えて、広く知れわたった一因だという。その由来は、ボーが提示したサンプルの5番目のものを選んだからとも、ガブリエルが自身のラッキーナンバーをつけたいと思ったからともいわれているが、真相は謎のまま。ミステリアスさが香りに奥行きを添え、ひいてはシャネルを象徴する神聖なコードになったのだ。一方、ボトルデザインも、まさにシンプルの極み。デコラティブなボトルが多いなか、虚飾をいっさい排し、すっきりと直線的な「機能美」を創り上げた。実は、あまり知られていないけれど、時代の空気に合わせて、フォルムが微調整されているという。Nº5という普遍の存在が不変であるためには、変わり続けること・・・・・・。こ れもまた、伝統と革新を積み重ねるシャネルらしさ。「女性そのものを感じさせる、女性のための香りを創りたい」。単一の「具体的」な花の香りが主流だった時代に、ガブリエルが求めたのは、フェミニティという「抽象的」な香りだった。そこでボーは、特定の花の香りにとらわれることなく、グラース産のジャスミンやローズ ドゥ メをはじめ、ヴェチヴァー、イランイラン、サンダルウッド、ネロリ、トンカビーンなど、なんと80種類以上 もの天然香料を採用。その香りを 際立たせ、ミステリアスな魅力を加えるために、合成香料であるアルデ ヒドを組み合わせ、香りの世界に革命を起こしたのだ。こうして生まれたのは、誰にも真似できない、ほかの何にも似ていない香り。専門家た ちに「Nº5以前」 と 「Nº5以後」と言わしめ、時代を分けたエポックメイ キングなフレグランスといわれる理 由がここにある。  

シャネル Nº5は、その後、歴代の専属調香師たちにインスピレーシ ョンを与え続け、新たな解釈を生みながら、進化を遂げている。本質を大切に守る一方で、時代に寄り添い、つねに一歩先を歩み続けているのだ。  

ガブリエル シャネルはポール ヴァレリーの言葉を好んでいたという。「香りをつけない女に未来はない」。彼女がNº5を通して、伝えたかったのはきっと、女という香りがあること。香りが女の引力になるという時代を超える本質・・・・・・。


〈写真中央〉女性そのものを感じさせる豊かなフローラルブーケ。 抽象性という新しい概念をもたらした、豊かなフローラルブーケの調香は、永遠に変わらない魅力を放ち続ける。香水をはじめ、オードゥ トワレ、 オードゥ パルファム、オー プルミエール、ロー、またバス&ボディライン などバリエーションが揃う。 Nº5 香水 7.5ml¥15,000(税抜)/シャネル

撮影/国府泰(スタジオカレント)
取材・文/松本千登世

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