なぜ、むくみ予防につながるの?リンパ液とリンパ管の働きとは

なぜ、むくみ予防につながるの?リンパ液とリンパ管の働きとは

「リンパの流れが滞ると老廃物が溜まって、むくみやすくなる」と耳にしたことのある人は多いでしょう。でも、一般に「リンパ」と呼ばれるものの正体をきちんと把握している人は少ないはず。アロマ・リンパセラピスト協会の会長、福場美知留さんに聞きました。
健康と美容に必須!リンパの正体 福場美知留さん

そもそも「リンパ」にはどんな働きがあるの?

「リンパ」という言葉を耳にする機会は多く、リンパの流れが滞ることはどうやら健康のためにも、美容のためにもよくないらしい……そんなイメージをお持ちの方は多いと思います。でも一体、リンパとは何で、どんな働きがあるのでしょうか?

「みなさんが『リンパ』という言葉を耳にされたときは、おそらく体の中を流れるリンパ液を思い浮かべるでしょう。でも、実は『リンパ』はリンパ液のことだけではありません。一般的にリンパと呼ばれるものには、体中に張り巡らされた『リンパ管』とその中を流れる『リンパ液』、リンパ管の途中に存在してろ過装置の役割をする『リンパ節』、さらにリンパ液に流れる白血球の仲間である『リンパ球』があります。これらを総合して『リンパシステム』と呼ばれることがあります。

また、これらに扁桃腺や脾臓などを加えた総称を『リンパ系器官』と呼びます。私たちの体は、消化器系器官や呼吸器系器官、循環器系器官など、11種類の器官系で成り立っていて、そのうちのひとつがリンパ系器官です。もともとはリンパの存在は知られていたものの、循環器系器官の一部として考えられていました。30~40年前に『リンパ系器官』の名称ができ、リンパの名や存在が広く知られるようになったと考えられます」(福場さん)

リンパ液に流れている老廃物とは何か?

リンパ液には、むくみの原因となる老廃物が流れていると聞きますが、その正体は何なのでしょうか?

「まず、リンパシステムについて説明しましょう。私たちは頭の先からつま先まで、直径10ミクロン程度の大きさの細胞でできています。胃も腸もすべてが細胞の集合体で、一人あたり約60兆個(最新の情報では37兆個)の細胞があると言われています。細胞が生きるためには酸素と栄養が必要で、それは動脈の血液が運んでいます。細胞に酸素と栄養が運ばれると、細胞内ではATPというエネルギーが作られます。細胞はそれをガソリン代わりにして、胃で消化活動をおこなったり、肝臓でアルコールを分解したり、腎臓で尿を作ったりと、体内の臓器でさまざまな働きをします。

細胞がエネルギーを産生すると二酸化炭素と水を排出しますが、同時にたんぱく物質など、余分な成分も排出します。これが『老廃物』と呼ばれるものの正体です。ほとんどは静脈を通って運ばれていきますが、毛細静脈は隙間が小さいため、たんぱく物質のように大きな老廃物は入りきりません。そのような大きな老廃物を回収するのが、隙間が広いリンパ管の役割です。リンパ管は静脈のすぐそばを流れ、静脈に入りきらなかった老廃物を回収するので、リンパ管はよく下水管にたとえられるのです」(福場さん)

老廃物は細胞が吐き出したものだったのですね。それが原因で、なぜむくんでしまうのでしょうか?

「動脈と静脈とリンパ管がきちんと機能していれば、老廃物はスムーズに流れていき、細胞の周りはきれいに保たれます。しかし、リンパ管内のリンパ液が滞っていると、細胞が吐き出した水分や老廃物が静脈にもリンパ管にも入れず、細胞のまわりに溜まってしまいます。この溜まった水分と老廃物こそが、むくみの原因です。イメージとしては、下水管に溜まったヘドロのようなもので、それらが細胞周辺に溜まっていると、細胞は酸素や栄養を正しく取り込めません。さらに、細胞内でエネルギーとなるATPが作れず、細胞は体中でさまざまな働きができません。これは、つまり代謝ができないということで、エネルギーを生み出しにくいので体の冷えにつながります」(福場さん)

リンパ液の流れが滞ってしまう原因は?

では一体なぜ、リンパ管の中は滞りやすいのでしょうか?

「それは静脈の血液とリンパ管内のリンパ液が、自力では流れられない性質を持っているからです。動脈の血液は心臓からの圧力で、勢いよく流れていきますが、静脈の血液とリンパ液が末端から心臓に向かって戻ってくるためには、骨格筋肉の力が必要になります。筋肉が動くことで押し上げられますが、筋力がなかったり、立ちっぱなし、または座りっぱなしで筋肉運動による刺激が少なかったりすると、押し上げられずに滞ってしまうのです」(福場さん)

冷え・むくみ解消のためのリンパケア

リンパの流れを整えるには、日々のセルフケアを習慣化するとよいそう。冷えやむくみが気になったときに自分でできる、リンパ節のケア方法を教えてもらいました!
【乳び槽をプッシュ】
「乳び槽とは、みぞおちのあたりにある太いリンパ管の入口のこと。下半身すべてのリンパ液の集合場所で、脂肪分を多く含み、乳白色をしています。乳び槽は脂肪分によって流れが滞りやすく、ここが滞ると下半身のリンパ液の流れが悪くなり、下半身の冷えやむくみが悪化してしまいます。呼吸に合わせてゆっくりと、6回プッシュしましょう。寝転がりながらおこなってもよいです」(福場さん)
【鎖骨をプッシュ】
「体の隅々から流れてきたリンパ液の最終到達場所が、鎖骨リンパ節です。ここにある鎖骨下静脈に合流するので、鎖骨リンパ節が滞らないようにしましょう。鎖骨の溝に4本の指を入れ、呼吸に合わせてゆっくりと、6回プッシュしましょう。なお、わきの下にも大きなリンパ節があるので、手で優しくほぐしても」(福場さん)
【そけい部をプッシュ】
「脚の付け根、そけい部にあるリンパ節は、脚を通ってきたリンパ液が一度ろ過される場所で、滞りやすい部分です。矢印の方向に向けて指を滑らせながら、そけい部を優しく6回プッシュしてください」(福場さん)
【脚のマッサージ】
「足先から脚の付け根に向かって、下から上へ、指で優しく揉んでいきます。そのとき、大きなリンパ節であるひざ裏を通るようにしましょう」(福場さん)

「健康を維持するためには、『固い・冷たい・滞る』体はNG! その反対の『やわらかい・温かい・流れる』体を目指しましょう。自分でリンパケアをする場合は、毎日お風呂上りにおこなうなど、習慣化することをお勧めします」と、福場さん。リンパ液がスムーズに流れれば、むくみや冷えが改善されるほか、細胞の活性化にもつながります。リンパケアの習慣、取り入れてみませんか?

イラスト提供/(社)アロマ・リンパセラピスト協会
■この記事は編集部&ライターの経験や知識に基づいた情報です。個人によりその効果は異なります。ご自身の責任においてご利用・ご判断ください。
■監修
福場 美知留さん
アロマ・リンパセラピスト協会 会長 美容・健康アナリスト

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