健康に大きな影響を与える「肝臓」と「腎臓」が不調だとどうなる?

健康に大きな影響を与える「肝臓」と「腎臓」が不調だとどうなる?

健康や美容に気遣うとき、私たちは胃や腸に注目しがちです。でも、体内を健やかに保つために働いている、重要な臓器をご存じですか? 体内で、いわば司令塔のような役割を持つのが「肝臓」と「腎臓」です。このふたつの臓器について、医師に聞きました。
美と健康に大切な肝臓と腎臓に注目 山浦真理子先生

体の健康を保つために大切な「肝臓」と「腎臓」の役割

私たちの体内には、日々さまざまなものが運ばれていきます。消化・吸収・排出をスムーズにおこなうために、胃と腸に気を配って生活する人は多いでしょう。でも、体内に運ばれるさまざまな栄養や物質を「必要なもの・不要なもの」に仕分けるという、重要な働きを担っている臓器があるそう。内科医の山浦真理子先生、一体どんな臓器なのでしょうか?

「運ばれてきたものを仕分ける臓器がないと、不要なものまで体内を巡ってしまい、体はさまざまな不調に見舞われます。その『仕分け』を担うのが、肝臓と腎臓です。

肝臓は大きく分けて『合成・貯蔵』と『解毒・排泄』の2つの役割があります。小腸は胃で消化された食べものをさらに分解し、栄養素を吸収するのですが、そこで吸収された栄養素は血液を通して肝臓に運ばれます。そして肝臓内で栄養素の合成がおこなわれ、再び血液にのって体のあちこちに配られるのです。また、合成された結果に出た老廃物も、肝臓から腎臓や腸に届けられて排出されます。

また、肝臓内に貯蔵する栄養素もあります。たとえば、体内に取り込まれた糖類(グルコースなど)は集合体であるグリコーゲンに姿を変え、いざというときに使えるエネルギー源として、肝臓にいくらか貯蔵されています。血糖値が低下したときなどには、肝臓に溜めてあったグリコーゲンから、生きるためのエネルギーとしてグルコースが使われるのです」(山浦先生)

さらに、肝臓には「解毒」の作用もあるそうです。

「お酒に含まれるアルコールや、煙草に含まれるニコチン、病気のときに摂取する薬も解毒の対象となります。それらは肝臓にて分解され、毒性の低い形に変わってから、尿や胆汁中に排泄されます。

また、人体には有害なアンモニアの代謝もおこなわれています。アンモニアはたんぱく質の摂取によって作られる物質なのですが、肝臓内で尿素に変えられ、尿と一緒に排出されます」(山浦先生)

血液内を健康に保つための腎臓の働きとは

では、腎臓にはどんな働きがあるのでしょうか?

「腎臓には、大きく分けると『排泄機能』『内分泌機能』の2つの役割があります。

血液は腎臓に流れ込むと糸球体というフィルターでろ過され、のちに尿細管にて体に必要なものと不要なものに仕分けられます。必要なものは血液内に回収されて、再び体内を巡っていきますが、そこで出た不要なものは尿として排出されます。

それから、内分泌機能もあります。レニンというホルモンを産出して分泌することで、血圧の調整をおこないます。また、エリスロポエチンというホルモンを産出し、分泌することで、赤血球の産出を高めます。さらに、副甲状腺ホルモンからの指令によって、ビタミンDを活性化させます。それによって骨代謝が促進されます」(山浦先生)

肝臓と腎臓の不調は、健康だけでなく、美容にも悪影響!

健康を保つためにとても大切な肝臓と腎臓……ここが不調だと、健康・美容面にはどんな悪影響が出るのでしょうか?

「肝機能が低下すると、倦怠感がつきまとい、疲れやすくなります。それは、肝臓内での解毒が正常におこなわれず、体に不要な老廃物が体内に溜まってしまうから。また、体に必要な栄養がきちんと合成されないので、体のあちこちが栄養不足や栄養過多の状態に陥り、肌荒れや肥満などのトラブルのほか、ほかの臓器がダメージを受けてしまう恐れもあります。もちろん、アルコールの分解もしにくくなりますね。

腎臓が不調になると、血液内にある余分な水分や毒素が排出されずに、むくみやすくなります。よく、むくみに悩んで懸命にマッサージをする方がいますが、腎臓の機能そのものが低下してむくんでいる場合、どんなにケアしてもいたちごっこです。また、血圧の調節がうまくいかず、高血圧になることも。さらに、赤血球を増やすホルモンが作られずに貧血になりやすくなります」(山浦先生)

健康を阻害する、肝臓のさまざまな病気

ちょっとした不調ならまだしも、シリアスな病気に発展することも……肝臓や腎臓の不調が引き起こす病気には、どのようなものがありますか?

「肝臓は『もの言わぬ臓器』と呼ばれ、非常に働きものなのにも関わらず、不調が生じても自覚症状が出にくい臓器です。代表的な病気として『脂肪肝』と『肝炎』と『肝硬変』があります。

脂肪肝は、肝臓に脂肪が溜まりすぎてなる病気です。肝臓は普段から数%の脂肪を貯蔵しているのですが、食べ過ぎやお酒の飲み過ぎ、運動不足、肥満などによって、とくに中性脂肪が肝臓に溜まることでかかります。極端なダイエットによって栄養不足に陥った人がかかることもあります。また、お酒を飲まない人でもかかる脂肪肝があります。『非アルコール性脂肪性肝疾患』と呼ばれる脂肪肝で、徐々に『非アルコール性脂肪肝炎(NASH)』という肝炎に進むことがあります。

肝炎はウイルス性やアルコール性などの種類があり、慢性化しやすいのはB型とC型のウイルスによる肝炎です。これらは放置すると、肝硬変や肝がんなどの重い疾患に進展してしまいます。また、肝炎には急激に症状が悪化する急性のものもあります。

慢性肝炎が悪化すると、肝臓本来の細胞の構造が破壊され、肝硬変へと進みます。肝臓の細胞が線維化し、肝臓が小さく、硬くなってしまうのです。さらに進行すると、肝がんのリスクが高まるほか、肝不全に陥って死に至ることもあります」(山浦先生)

腎臓が病気になると、血液の健康が保たれない!

腎臓には、どのような病気がありますか?

「腎臓も自覚症状が出にくい病気が多いです。生活習慣病(糖尿病や高血圧、肥満など)や慢性腎炎が原因で発生する慢性腎臓病(CKD)は、成人の8人に1人がいると考えられています。初期には自覚症状がなく、ゆっくりと進行していき、のちに夜間尿やむくみ、貧血などの症状を引き起こします。

このように慢性腎不全の状態になると腎機能を回復することが難しいため、血液のろ過ができずに不要な老廃物が体内を巡ってしまいます。そのため、人工透析が必要になる方も出てきます」(山浦先生)

また、膀胱炎になりやすい人も注意が必要だそう!

「女性には膀胱炎を繰り返す方が多いのですが、その場合、膀胱から細菌が尿管をさかのぼって『腎盂腎炎』を引き起こすことがあるので、注意が必要です。また、糖尿病の方や高血圧、痛風を患っている方も、慢性腎臓病(CKD)にかかりやすくなります」(山浦先生)

怖くなってきますが、山浦先生によると「肝臓も腎臓もそんなにヤワな臓器ではない」そう。とはいえ、健康に保つためには栄養バランスのとれた食生活や規則正しい生活が必要なので、気をつけたいところです。肝臓と腎臓の健康に気を配ってみませんか?
■この記事は編集部&ライターの経験や知識に基づいた情報です。個人によりその効果は異なります。ご自身の責任においてご利用・ご判断ください。
■監修
山浦 真理子 先生
​上用賀世田谷通りクリニック 呼吸器内科
  • 同テーマの内部記事リンク(6月20日公開予定)
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