下痢が続く場合はストレスが原因?過敏性腸症候群の原因と対処法

下痢が続く場合はストレスが原因?過敏性腸症候群の原因と対処法

大事な場面に限ってギュルルとお腹が痛くなって下痢をする…それはもしかすると「過敏性腸症候群」かもしれません。精神的なストレスと「腸」は密接に関わっています。過敏性腸症候群の原因や対処法などをご紹介します。

下痢が続く過敏性腸症候群とは?

どんな病気?

検査では病気の元になるような異常が見当たらないにも関わらず、お腹の不快感や痛み、それに伴う下痢や便秘などの症状が続いたり、繰り返し起こったりする病気です。決して珍しい病気ではなく、有病率は「10人に1人」くらいといわれています。この病気の傾向として、男性よりも女性に多いこと、高齢者よりも若い人に多いことが知られています。

過敏性腸症候群になるとどうなる?

命に関わるような恐ろしい病気ではないので、心配しすぎる必要はありません。ただし、実際にこの病気に悩む人は、急にお腹が痛くなったり、下痢などの不快な症状が続いたりすることで、どうしても生活に支障が出ます。それでも、命に関わる病気ではないことから「困った体質」とあきらめ、受診をせずにやり過ごす人や、相談しづらくて困っている人も多いようです。

過敏性腸症候群を見極めるにはどうする?治療法はあるの?

過敏性腸症候群なのかどうか、特別に見極める方法は今のところありません。過敏性腸症候群の症状と似た病気(大腸がんや潰瘍大腸炎など)の有無について調べる必要もあります。その上で、どの程度症状に困っているのか、どんな場面で症状が起こっているのか、心理状態などをみて、総合的に診断をする流れがよいとされています。生活の質に影響する病気ですから、ストレスとの関連性も考慮します。治療の際は症状に合った薬を内服しますが、それだけに頼らず、生活習慣を見直してきちんと実践することも重要なポイントです。

下痢が続く場合はストレスが原因?過敏性腸症候群の主な原因

過敏性腸症候群は、今のところはっきりとした原因がわかっていません。しかしながら、この病気の病状にはストレスが影響しており、菌やウィルスに感染して起こる感染性腸炎がきっかけになっているケースも指摘されています。

なぜストレスでお腹に症状が出るの?

腸の働きは脳と密接に関係しています。脳と腸はいつも連絡を取り合っていて、それがわかる例として、緊張する場面や激しい運動をした直後はあまりお腹が空かないということが挙げられます。いわゆるアドレナリンが出て興奮や緊張をしている状態です。少し時間が経って、脳がリラックスモードになってくるとお腹も空いてきます。脳はリラックスモードと緊張モードを察知し、腸の動きを変化させているのです。
これが過敏性腸症候群の場合には、ストレスがあると緊張モードを敏感に察知して、腸を過剰に動かしてしまいます。また、腸内への刺激に対して知覚が敏感になりすぎる傾向があるため、便が移動するくらいの刺激で便意を催して、急にお腹が痛くなったりします。
さらに、腸が動き過ぎることによって、下痢だけではなく便秘も起こります。一般的な便秘は、大腸の動きが弱く便が大腸内に長く留まり、水分が吸収されすぎることによって硬くなり出づらくなるものです。一方で過敏性腸症候群では、腸が過剰運動によって狭く細くなって便が通りにくくなり、こま切れ状態を作ってしまいます。

なぜ菌やウィルスへの感染が過敏性腸症候群に影響するの?

菌やウィルス性の風邪を引いて下痢になる、という状態はイメージしやすいでしょう。腸に菌やウィルスが感染すると、腸が炎症を起こして下痢になります。通常であれば、ウィルスや菌が退治されると症状は落ち着きます。過敏性腸症候群の人の中には、腸が感染症にかかったことをきっかけに、その後も腸の知覚が敏感になり、腸の動きが過剰になるケースがあります。そうして、下痢などの過敏性腸症候群の症状を繰り返すのです。

過敏性腸症候群の主な症状

自覚できる症状

主な自覚症状として、お腹の痛み、ガスによるお腹の張りなどの不快感、便が残ってスッキリしない感じなどが挙げられます。

特徴的な便の異常

自覚症状と併せて、過敏性腸症候群には特徴的な便の異常が生じます。しかしながら、自分の便が異常なのか人と比べて判断することは難しいです。客観的な視点として「ブリストルスケール」という便の形状を判定する尺度を参考にすると、以下のような4つのタイプの異常があります。

・下痢
水っぽいために形を留めない便。もしくは、固形分がなく水っぽい水様便。

・便秘
コロコロした感じで小さく硬い便。もしくは、小さな塊がゴロゴロと合わさってできたソーセージ状の硬い便。出しづらい。

・混合
下痢と便秘の両方が同じくらいの頻度で起こる。

・分類不能
普通の便に近い、柔らかいソーセージ状の便や、それに近い形で表面に切り込みが入ったようないびつな形の便。または、小さく細くちぎれている柔らかい便。比較的出しやすい。

(参考:過敏性腸症候群(IBS) 診療ガイドライン2014,p.xviii,「Bristol便形状尺度」
https://www.jsge.or.jp/guideline/guideline/pdf/IBSGL2_re.pdf#page=59)

どんな場面で起こりやすくひどくなりやすいか

緊張する場面で急に腹痛が起こったり下痢になったりします。普段から便秘の人は、ストレスがある時期に便秘がひどくなる傾向があります。

・テストや大事な会議の直前に、急にお腹が痛くなってトイレへ駆け込む(下痢)
・週末は便秘が改善されるが、平日は便秘
・曜日に関係なく、仕事の繁忙期やテスト期間など、ストレスのかかる時期にはお腹の不調が続き、特別なイベントがない日常では症状が和らぐ

また、下痢タイプでも便秘タイプでも、排便してしまえば一旦は症状が落ち着くのも特徴です。

下痢が続く過敏性腸症候群にならないための対処法

ストレスをためない

いつも仕事や勉強のことが頭から離れない、というような状態ではないでしょうか。リラックスできる方法は人それぞれ。たとえば、音楽を聴く、本を読む、映画を見る、好きな動物やペットと触れ合う、人と話をするなど、自分に合ったリラックスできる方法を見つけましょう。

欠食をせずバランスのよい食事を

食生活の乱れは栄養の偏りや生活リズムの乱れにつながります。とくに朝食はきちんと摂って体内リズムを整え、忙しくても昼食や夕食を抜かないようにしましょう。主食になる炭水化物、肉や魚、大豆や卵などたんぱく質が摂れる主菜、野菜や海藻、乳製品などミネラルや食物繊維を毎食で摂り、バランスのよい食事を心がけます。

規則正しい生活リズムと充分な睡眠

不規則な生活リズムや睡眠不足は、自律神経の乱れを起こしてストレスを溜めこむ原因にもなります。朝はなるべく陽の光を浴び、夜は照明を落ち着かせます。眠る前のスマホやPC作業は早めに終わらせ、眠る前にゆっくりお風呂に入ったり、気持ちのよい程度のストレッチをしたりすると眠りの質がよくなるとされています。

・適度な運動
週に数回程度、心地よい疲れが得られる程度の運動習慣をつけると、身体にもよくストレス解消にもなります。ウォーキングや軽いジョギングなどもおすすめです。いずれも継続が大切です。

・禁煙をしてお酒も飲みすぎない
過剰なアルコール摂取は避け、禁煙にも取り組みましょう。ストレス解消法がお酒やタバコという場合には、他のストレス解消法を見つけるように努めましょう。

・コーヒーや唐辛子を摂りすぎない
コーヒーや唐辛子などの香辛料は、習慣や嗜好によって摂りすぎる可能性があります。これらは過敏性腸症候群の症状に影響すると考えられていますので、過剰に摂取しないよう注意しましょう。

・脂質は控えめに
脂質の摂取過多が過敏性腸症候群の症状に影響すると考えられています。外食のメニューを選んだり献立を考えたりするときには、炒め物などの調理油だけではなく、ドレッシングなどに含まれる油や肉に含まれる脂、揚げ物の油など目に見えない脂質にも気をつけましょう。

まとめ

過敏性腸症候群は、お腹の痛みや不快感、それに伴う下痢や便秘が続いたり繰り返したりする病気で、排便によって症状が落ち着きます。ストレスや緊張で症状が出たり悪化したりすることもあるので、身体にも心にもストレスが続かないような、規則正しい生活を送ることが大切です。

執筆:座波 朝香(助産師・保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
■この記事は編集部&ライターの経験や知識に基づいた情報です。個人によりその効果は異なります。ご自身の責任においてご利用・ご判断ください。
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