避妊効果だけじゃない!低容量ピルの効果と正しい飲み方

避妊効果だけじゃない!低容量ピルの効果と正しい飲み方

避妊の方法として効果の高い低用量ピル。最近ではそれ以外の効果も注目されています。ピルは女性の強い味方ですが、実際にはどのように活用できるのでしょうか?低用量ピルの効果や副作用、正しい飲み方についてご紹介します。

低用量ピルとは一体何?ピルについて正しい基礎知識を持とう

低用量ピルは合成されたホルモン剤で、女性ホルモン「エストロゲン」と「プロゲステロン」の作用を持っています。「ピル(pill)」という単語そのものは本来「小さく丸めた丸薬」という意味です。今では、毎日飲む「ピル=経口避妊薬」としてよく知られ、その英語名から「Oral Contraceptive=OC(オーシー)」とも呼ばれます。4週間分の薬が1シートになっていて、飲み忘れなく順番に飲めば、1シートで1つの月経サイクルになります。

基本的な作用である避妊の効果は、以下のような仕組みで起こります。

排卵を抑える

ピルを飲むことで、身体では女性ホルモンが充分に分泌されているとみなされます。ちょうど妊娠したときのようなホルモンバランスになります。そうすると、脳からの「卵胞刺激ホルモン(FSH)」や「黄体形成ホルモン(LH)」が分泌を休むため、卵巣への刺激もストップします。この結果、卵巣の働きも休止状態となり、卵子のもととなる「卵胞」は成長を止めるので排卵は起こりません。

着床を防ぐ

通常は、排卵したあとに子宮内膜が増殖して、着床のスタンバイをします。ピルを飲んでいると子宮内膜は十分に増殖しないまま月経を迎えます。そのため、万が一排卵が起こって受精をしたとしても、着床できないと考えられています。

精子を子宮に入りづらくする

通常は、排卵の時期の頸管(けいかん)粘液はさらっとしていて、精子が子宮に入りやすい状態になっています。一方、ピルを飲んでいると、排卵を起こさないホルモンバランスになるため、頸管粘液は粘っこく変化して精子が入りづらくなります。

このような三重の仕組みによって、他の方法よりも確実な避妊効果を発揮します。ちなみに「低用量ピル」というのは、これまで使われていた「中容量ピル」「高容量ピル」などのピルと区別するための呼び方です。低用量ピルは、合成ホルモンの量を極力少なくして副作用を抑え、効果を発揮できるように改良されており、現在の主流です。

低用量ピルを飲むことによって期待できる効果とは?

実は、ピルには避妊以外にも期待されている使い道があります。低用量ピルを飲むことで、女性らしい健やかさを保つ効果を得られるのです。

月経困難症の治療

低用量ピルのおかげで、月経痛は我慢するものから治療すべきものになっています。生活に支障が出るほどの強い月経痛には、子宮内膜症という病気が隠れていることが多いのですが、そこで子宮内膜の増殖を抑えるというピルの作用が活かされます。より改良されている低用量ピルのなかには、月経困難症の治療として保険適用となる薬もあります。

月経前症候群(PMS)の症状緩和

月経周期のうち、排卵後から月経が始まる頃にかけて、さまざまな不快な症状が出ることがあります。月経周期によって生活の質を左右されて困るようなケースでも、ピルによってホルモンバランスを一定に保ち、症状が和らぐことがわかっています。

月経サイクルの調整

ピルを飲んでいるときは、自然に月経が来るのではなく、ピルによって月経が起こるサイクルをつくっています。避妊の効果を得ながら、月経サイクルを調整できるのです。自分の力を発揮したいシーン、たとえば大事な試験や試合、仕事のプレゼンなどのとき、月経が重なってパフォーマンスが落ちないようにピルを活用することができます。

美肌

女性ホルモンのバランスを整える作用から、男性ホルモンに影響されるニキビが改善することがあります。多毛で悩んでいる場合も、ピルを飲んだら薄くなってきたという嬉しい副効果を感じる人も少なくありません。

女性特有のがんや病気の予防

ピルを飲んだことのある女性は、飲んでいない女性と比べると、卵巣がんや子宮体がん、良性の卵巣や乳房の病気、女性に多い骨粗しょう症などのリスクが低いといわれています。

低用量ピルのデメリットはある?

薬ですから副作用もあります。
比較的小さな副作用としては、頭痛や吐き気、不正出血などが挙げられます。薬の種類が合わないときや、飲み始めの3ヶ月間くらいに起こりやすいです。種類によっては男性ホルモンの作用がやや強い薬もあり、その場合はニキビが増える可能性も考えられます。
危険な副作用としては、ごく稀ですが「血栓症」という血管が詰まってしまう病気も起こり得ます。「血栓症」は、いわゆるエコノミークラス症候群や、脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こす病気です。このように聞くととても危険な薬と思ってしまうかもしれません。しかしながら、女性の一生のなかで血栓症になるリスクは、ピルを飲んでいるときよりも妊娠中や産後早期のほうが高いといわれています。
そうはいっても、「副作用は頻度が低いから」「大した副作用じゃないから」といって無視することはできません。副作用があることをしっかりと理解したうえで、指示通りに飲む必要があります。薬を忘れずに飲むためにも、生活リズムは整えましょう。デメリットを踏まえてピルを上手に活用できれば、メリットのほうが大きいといえるでしょう。

低用量ピルの正しい飲み方・種類とは?

低用量ピルはホルモンバランスを人工的に作り出す薬です。ピルが作る月経サイクルは、28日で1サイクルと考えます。毎日続けて飲むのが基本ですが、薬の種類によって飲み方が変わります。

21錠で1サイクルのピル

一日1錠を3週間(21日間)飲み続けて、1週間(7日間)内服を休みます。
休みの期間に月経のような出血(消退出血)があります。

28錠で1サイクルのピル

一日1錠を4週間(28日間)飲み続けますが、最後の1週間分はプラセボ錠です。事実上、内服を休んでいる状態と同じで、毎日1錠ずつ飲むことを忘れないために工夫されているタイプです。

また、ピルには1相性と段階型の2種類があります。

1相性のピル

1サイクル分の錠剤すべてに均等な量のホルモンが入っているタイプです。

段階型のピル

含まれるホルモンの量が段階的に調整されているタイプです。1錠中のホルモン量が違うので、順番に飲む必要がありますが、数字などでガイドされておりさほど難しくはありません。さらに段階型のピルには以下の2つの種類があります。

・中間増量型
1サイクルの中間の時期にホルモン量が多くなるようになっています。

・漸増型
1サイクルの終わりにホルモン量がピークになるようになっています。

旅行などの予定に合わせて出血する時期を先延ばしにしたいなど、周期の調整をするときは、1相性のピルのほうが扱いやすいです。
段階型ピルではホルモン量が段階的なので、1サイクルごとの決まった消退出血とは別の不正出血が起こることがあります。ピルの服用目的やライフスタイルに合わせて、医師と相談して決めるとよいでしょう。

どんなピルでも正しく飲めば避妊の効果は高いのですが、性感染症の予防はできません。コンドームの併用は必要です。

低用量ピルはどこで手に入る?

ピルは「薬」ですから、きちんと医師に相談して処方してもらうのが基本です。市販薬(OTC)としては認められていません。
受診先は婦人科や女性診療科、ピル専門外来などのほか、最近では美容医療を扱う美容皮膚科などで処方している場合もあります。
ご説明したとり、低用量ピルは女性にとって嬉しい多くの効果をもたらします。「美も健康も手に入れたい」と、サプリメントのような感覚でピルを気軽に入手したいと考える女性は少なくありません。
しかしながら、たとえ医師の処方なしにピルを手に入れても、非正規ルートの薬には「偽造薬」が含まれていることはあまり知られていません。偽造薬には、通常ではあり得ないような不衛生な環境で作られていたり、余計な成分が混ざっていたり、ピルの成分に過不足があったりする可能性が考えられます。つまり、ピルの効果を正常に得られない、副作用とは別の健康被害を招く、といったリスクを含んでいるということです。
もちろん、非正規ルートのすべてが偽造薬という意味ではありません。ただし、偽造薬はとてもよくできていて、正規品と見分けるのは困難です。本来薬の製造販売を認められていない人たちが、利益を目的に安価に作っている偽造薬も出回っています。どのような健康被害が起こるのか、その危険性は計り知れません。

まとめ

低用量ピルは、ホルモンバランスを整えて避妊効果を得る薬です。その作用によって、月経前後の症状緩和や、女性特有の悩みの改善など、副効果にも期待できます。一方で、副作用があること、毎日忘れずに飲み続けることが求められます。「美も健康も手に入れたい」という方は、安易な方法で入手するのではなく、ぜひ医師に処方をしてもらいましょう。

執筆:座波 朝香(保健師・助産師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
■この記事は編集部&ライターの経験や知識に基づいた情報です。個人によりその効果は異なります。ご自身の責任においてご利用・ご判断ください。

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