ストレスは溜めすぎると危険?ストレスが原因でなる病気・解消法とは

ストレスは溜めすぎると危険?ストレスが原因でなる病気・解消法とは

ストレスも一時的であれば成長のきっかけにもなりますが、あまりにも長期間続く強いストレスは、心身の病気につながってしまいます。ストレスが昂じるとどのような病気になるのでしょうか?その解消法も併せてご紹介します。

ストレスとは一体何?

ストレス(stress)はもともと「物体のへこみ」を表す工学用語でした。それが転じて、身体や心にかかる「プレッシャー」や「緊張」を意味するようになり、自律神経や内分泌、免疫などに悪影響を引き起こす状態を指す言葉になりました。
ストレス学の生みの親・セリエ博士(生理学)は、「ストレスは人生のスパイス」と言っています。一時的で適度なストレスは「ストレスをバネにする」のたとえのように、人にとって良い刺激となる場合もあります。
しかしながら、過剰なストレスや長期間続いて慢性化したストレスは、心身の不調や病気を招く怖れがあります。身体や心に生じた歪みを元に戻す力が次第に弱まってしまうためです。ストレスの原因となる刺激(変化)を「ストレッサー」、結果として起こる反応を「ストレス反応(ストレイン)」と呼びます。

ストレスの原因とは?

ストレスの原因となるストレッサーには、一般的には次のようなものがあります。

・物理的ストレッサー:温度・騒音・光・圧力など
・化学的ストレッサー:ほこり・臭気・排気ガス・タバコや薬物
・生物的ストレッサー:花粉・ウィルス・細菌・カビなど
・精神的ストレッサー:不安・孤立・苦痛・緊張・人間関係など
・社会的ストレッサー:性別・加齢・家庭や学校や職場でのできごと・都市や地域での生活など

主婦にとっての生活上のストレッサーには、たとえば次のようなものがあるでしょう。

・配偶者の死
・離婚や別居
・夫の会社の倒産
・気候の寒暖差
・借金の返済
・自分のケガや病気
・姑との葛藤
・家族の健康や行動の大きな変化 など

さらに近年は、都市化や情報化に伴って次のようなトラブルもストレッサーになります。

・近隣トラブル
・キャッチセールスや頻繁な電話セールス
・迷惑メール
・振り込め詐欺
・ストーカー
・不倫や恋愛トラブル
・宗教などの勧誘
など

この他、ライフサイクルによる変化も時としてストレスとなります。思春期や更年期、加齢や老化などはその典型ですが、人によっては進学や就職、転校や転職、昇進や異動、結婚や育児などもストレッサーになります。

とはいえ、同じ出来事や刺激でも、誰もが同じようにストレスを感じるとは限りません。たとえば、周囲から注目されたい人は観客の前で歌うことにワクワクするでしょうが、人見知りをする人にとっては人前で歌うことは苦痛でしょう。ストレッサーは、それを経験する人がストレスと感じるかどうかといった、個人的な評価という側面も持っています。

ストレスが溜まると起こる症状

ストレッサーは多種多様にあるものの、ストレス反応は共通しているということがストレス研究から明らかになっています。
まず、自律神経が反応して交感神経が働き、緊張や興奮状態に対応できる体制がとられます。心臓が活発になり、血流が盛んに酸素を末端まで送り、筋肉をアクティブにします。続いて、内分泌と呼ばれるホルモンが同じような働きを行います。ストレスホルモンといわれる「コルチゾール」や、興奮を促す「アドレナリン」や「ドーパミン」などが分泌されます。このように、ストレスは全身的な恒常性を保つ働きに影響を与えることがわかっています。
一過性のストレスでは、ストレス状況が過ぎると自律神経なども元に戻って再びバランスを保ちます。ところがストレスが溜まって慢性化すると、バランスが崩れてさまざまな症状が起こります。

身体面でのストレス反応

頭痛/胸痛/けいれん/息切れ/吐き気/めまい/消化不良/胸やけ/食欲不振/便秘/下痢/汗をかきやすい/血圧の上昇/落ち着かない/倦怠感/睡眠障害/性的不能/失神発作/爪噛み など

心理(感情)面でのストレス反応

抑うつ/あせり/心配/不安/失敗を恐れる/他人への関心喪失/生活への興味の喪失/攻撃的になる/自分を卑下する/人間不信/痛みが強くなる など

行動面でのストレス反応

遅刻・早退・欠勤の増加/集中力低下/能率低下/ミスの増加/生活が不規則になる/睡眠時間が乱れる/もめ事が増える/協調性の低下/孤立 など

ストレスが原因でなる病気

ストレス反応が解消されないと、最終的には心身両面で病気になります。

身体的疾患(ストレス関連疾患)

ストレスが原因で身体のさまざまな部位に症状が出る病気を「心身症」と呼びます。次のような疾患が心身症と認定されています。

・呼吸器系:気管支喘息、過換気症候群
・循環器系:本態性高血圧、狭心症、心筋梗塞
・消化器系:胃や十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎など
・内分泌や代謝系:単純性肥満症、糖尿病
・神経や筋肉系:書痙(しょけい)など
・皮膚科領域:慢性ジンマシン、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症
・整形外科領域:慢性関節リュウマチ、腰痛症
・泌尿器や生殖器系:夜尿症、心因性インポテンツ
・眼科領域:眼精疲労、本態性眼瞼マヒ
・耳鼻咽喉科領域:メニエール病
・歯科や口腔外科領域:顎関節症

ストレスはあらゆる部位に影響します。自律神経のバランスが崩れる「自律神経失調症」なども、ストレスによる影響を強く受けています。

精神疾患(心因性精神障害)

・うつ病
・不安障害:パニック障害、社交不安障害、恐怖症、強迫性障害など
・適応障害:5月病(6月病)など
・心的外傷後ストレス障害(PTSD)
・依存症:物質依存(アルコールや薬物など)、プロセス依存(ギャンブルや買い物、ネットなど)、人間関係依存(恋愛、カルト宗教など)
この他、摂食障害や睡眠障害などにもストレスが強く影響しています。

さらに、感染症のような病気や持病も、ストレスで免疫がダメージを受けてかかりやすくなったり、治りが悪くなったりすることもあります。

ストレスチェックを受けよう

自分がどれくらいのストレスを感じているのか、なかなか自覚はしにくいものです。2015年12月から、50人以上の従業員を抱える事業所にはストレスチェックを行うことが義務づけられました。
仕事あるいは職業生活にストレスを感じている人が5割を越え、ストレスが原因でうつ病などの精神障害を発症して労災認定を受ける労働者が増えています。ストレスチェックは、こうした労働者がメンタルヘルス不調に陥るのを未然に防ごうという主旨で実施されています。
自分でチェックする「セルフ・チェック法」の「職業性簡易ストレス調査票」を採用している企業が大半でしょう。以下のサイトで設問が公開されています。
http://kokoro.mhlw.go.jp/check/

このストレスチェックでは、次の3つの点がチェックされます。

・仕事上のストレッサーは何か(17問)
・どのようなストレス反応が起こっているか(心理的ストレス反応18問、身体的ストレス反応11問)
・サポートがあるかどうか(9問)、生活満足度はどうか(2問)

結果は「プロフィール」としてフィードバックされます。さらに、ストレスチェック制度では、個人へのフィードバックだけではなく、職場の特徴の分析や高ストレスと判断された人への産業医による面接指導なども実施しています。

おすすめのストレス解消法

とくに慢性的なストレスを感じているときには、次のようなストレス解消がおすすめです。

生活リズムを整える

睡眠や休息、食事や運動、仕事や家事、勉強や遊びなどは、生活リズムを意識して行いましょう。気分転換にもなりますし、基本的な生活リズムが整うとストレスに強くなれます。

相談する

独りで悩まないことが大切です。友人や家族、職場などに相談できる人がいるとベストです。学校や職場であれば保健室や健康管理室に相談に行ってみましょう。

息抜きをする

ストレスがある状態で根を詰めていると疲弊してしまいます。オン・オフのメリハリをつけて時間管理を行い、休息をとるようにしましょう。アフターファイブに、フィットネスや趣味を楽しんでリラックスするのもよいでしょう。

考え方を楽観的に

ストレスに弱いのは、まじめで悲観的な人です。一生懸命に完璧を目指したり、ミスをしないことにエネルギーを注いだりしがちです。行きすぎるとストレスから抜け出せなくなるので、考え方が完全主義や悲観的になっていないか振り返ってみてください。

まとめ

ストレス解消によって慢性的なストレスを上手に乗り切り、不調や病気を回避しましょう。健康な生活を維持していれば、ストレスに強い生活力が身についてきます。スピード重視の傾向が強い現代生活ですが、うまく肩の力を抜いて対処する術を持つことも大切ですね。

執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
■この記事は編集部&ライターの経験や知識に基づいた情報です。個人によりその効果は異なります。ご自身の責任においてご利用・ご判断ください。

関連記事